カンボジアでは、高収入の仕事があると騙されアジアの国々から連れてこられた人たちが、強制的に働かされています。犯罪組織によって監禁状態に置かれ、暴力や拷問におびえながらオンライン詐欺に加担させられているのです。被害者の数は数千人にものぼり、中には子どももいます。
全国に点在するこうした詐欺拠点での人権侵害は繰り返し指摘されてきたにもかかわらず、カンボジア政府は十分な調査を行わず、状況を黙認してきました。
今も働かされ続ける被害者は、逃げることも、警察に助けを求めることさえもできません。彼らを奴隷状態から解放するための調査を行い、このような詐欺拠点を閉鎖するよう、カンボジア政府に求めてください!
期 間: | 2025年8月5日~2026年1月上旬(予定) |
要請先: | フン・マネット カンボジア王国首相 |
※要請先に、あなたの名前、メールアドレスを配信元として直接メールを送ります。
詐欺で連れてこられ、詐欺を働かされる
カンボジア全土に50カ所以上ある詐欺拠点は、中国を拠点とする大規模詐欺グループによって運営されています。アジア圏内外から連れてこられた多くの被害者たちは、好条件の求人にだまされて人身売買の対象にされ、詐欺拠点である元カジノやホテルなどの大型施設に収容されます。そこで、ロマンス詐欺や投資詐欺、商品詐欺、相手と信頼関係を築いてから金銭を搾取する詐欺などに関与させられます。
「他人の所有物」のような日々
アムネスティの調査では、聞き取りに応じた人たちのほぼ全員が人身売買の被害者であり、暴力により強制的に働かされていました。被害者は「身ぐるみを剥がされ、ビルから飛び降りるよう強要される」「体が紫色になるまで殴られる」「他の拠点に売られる」などの被害を体験した、又は目撃したと証言しています。
カンボジア政府の不作為
カンボジア政府は事態に対処していると言いながら、十分な調査に取り組まないだけでなく、この件を問題視する人権活動家やジャーナリストを逮捕するなど、犯罪組織に加担するような動きを見せています。警察のお粗末な「救出」作戦の多くは目的の被害者を門で引き渡すのみで、拠点の捜査や閉鎖には至っていません。詐欺グループの上層部と警察との間で話がついており、共謀している可能性があることも示唆されています。救出された被害者はしばしば劣悪な環境の入管施設で数カ月拘束されます。カンボジア当局は彼らを人身売買の被害者と認めず、国際法で義務づけられている支援を行っていません。
アムネスティが詐欺拠点での人権侵害を調査報告書で糾弾した後、警察が摘発に乗り出しました。1,000人以上を逮捕したと当局は発表しましが、報道やソーシャルメディアの投稿からは、摘発には人身売買の被害者保護の視点が欠けており、被害者がきちんと特定されずに拘束されている懸念が拭えません。