政府批判の急先鋒として知られるロシアのアレクセイ・ナワリヌイさんが逮捕され、2年8カ月の実刑を言い渡されました。
ナワリヌイさんはプーチン政権の強権を批判し体制エリートによる汚職を追及していました。そのために当局から目をつけられ「違法なデモを呼びかけた」などの容疑でこれまでもたびたび拘束されてきました。
今回逮捕されたのは、ドイツからの帰国直後、1月17日のことでした。執行猶予付きの有罪判決を受けていたナワリヌイさんには、定期的な出頭義務がありましたが、それを怠ったというのが理由です。ドイツに滞在していたのは、何者かに毒を盛られて重体となりその治療のためでした。出頭できないことを当局は知っていたにもかかわらず、執行猶予が取り消され、実刑に切り替えられたのです。しかし、そもそもこの有罪判決は政治的な理由による不当なものでした。
これに抗議する大規模なデモがロシア全土で行われましたが、当局は暴力的に排除し、デモ参加者11,000人以上を拘束しました。
【更新情報2021.04.09】
投獄後、ナワリヌイさんの健康状態は著しく悪化し、背中の痛み、足のしびれ、発熱、激しい咳などに苦しんでいます。刑務所の医師は脊髄に二重のヘルニアがあると診断、毒物の後遺症でさらに症状が悪化している可能性もあります。深刻な健康状態に加え、毎晩1時間ごとに刑務官に起こされていることも報告されています。ナワリヌイさんは適切な医療支援を拒否する刑務所管理者に抗議して、3月31日にハンガーストライキ（ハンスト）を開始しました。当局はナワリヌイさんが信頼する医師による治療をすぐにでも受けられるようにすべきです。
【更新情報2021.05.06】
4月23日、ナワリヌイさんは24日間にわたるハンストを中止すると発表しました。彼の主治医は命の危険があるとしてハンストの中止を求めていました。しかし、ナワリヌイさんは依然として希望する医師との面会が許されず、適切な治療を受けられずにいます。
ナワリヌイさんもデモ参加者も、不当に自由を奪われています。彼らをただちに釈放するよう、プーチン大統領に要請してください。
ナワリヌイさんの活動の一つが、自身が設立した「反汚職基金」による汚職の告発です。同基金はプーチン大統領を含む政治家や官僚の汚職疑惑を独自に調査しインターネットで公開しており、ナワリヌイさんの逮捕直後にはプーチン大統領の大豪邸の建設のために側近や親族を通じて国営企業などの利益が使われていると糾弾しています。基金の関係者も、警察から家宅捜索を受けたり、でっち上げの罪で訴追されたりするなど、これまで、さまざまな嫌がらせを受けてきました。
今回のナワリヌイさん逮捕の後、彼らも逮捕されました。またナワリヌイさんの弟や他の支持者も同様です。新型コロナウィルス感染防止に関する刑法違反行為があったと、少なくとも3月23日まで勾留されることになっています。
毒殺未遂事件
ナワリヌイさんが治療のためにドイツに渡ったのは、何者かに毒を盛られたためです。2020年8月、飛行機の中で突然、意識不明の重体に陥り、一旦はモスクワの病院に入院しましたが、ベルリンに緊急移送されました。治療にあたった病院は、原因は神経毒によるものだと発表。また、この事件を調査した調査集団「ベリングキャット」は、ロシア連邦保安局職員が何年もアレクセイさんを監視していたことを突き止め、事件は連邦保安局の仕業だと主張しています。
| 期 間： | この署名は終了しました(2021年2月17日-8月2日) |
| 要請先： | ウラジミール・プーチン大統領 |