ロシア軍による侵攻が続くウクライナでは、多くの市民が当たり前の日常を奪われ、今も苦しみの渦中にいます。中でも高齢者は、健康、障がいや貧困などのさまざまな困難を同時に抱えていることが多く、他の年代と比較しても、特に危険に晒されやすい状況にあります。しかしロシアによる占領地への人道支援の妨害もあり、彼らのための安全な住居も、医療や生活のサポートも、十分に提供されていません。
セベロドネツクに住む70歳のニーナさんは、戦闘が始まった頃、部屋の隅でひとり侵攻に耐えていましたが、家の隣に砲弾が落ちてきて、救急隊員に救出されました。彼女は14日間の入院を経て、現在、国立の老人ホームに身を寄せています。
戦争で我が家を失い、さらには自立した生活を奪われたニーナさんはこう話します。「どうしてこんな場所で暮らさなくてはならないの? 私には自分の家があって、今まで何一つ不自由なく、ひとりでも幸せに暮らしていたのに」
ウクライナの高齢者は、身体的、経済的にも特に弱い立場に置かれ、迅速かつ手厚い支援が必要です。ウクライナの高齢者が安全な場所で暮らせるよう、日本政府に支援を呼び掛けてください!
期 間: | この署名は終了しました。(2023年1月26日~5月23日) |
要請先: | 日本政府 林芳正外務大臣 |
2022年2月24日に始まったロシアの軍事侵攻によって、ウクライナの人びとは壊滅的な人権危機にさらされています。ウクライナではこれまでに少なくとも1万6000人以上の市民が死傷しており、また数百万人が故郷を追われたとされています。
ウクライナは、60歳以上の高齢者が人口の4分の1近くを占める、世界でも有数の「高齢者大国」でもあります。そして、多くの高齢者が深刻な危機に直面しています。ロシアが国際法に反して占領地への人道支援を妨害していることも、高齢者の安全に甚大な影響を及ぼしています。
高齢者の中には、長年住み慣れた家から離れたくないと思う人や、避難そのものが困難なために自宅に残らざるを得ない人も多くいます。アムネスティ・インターナショナルは、自宅に残った高齢者が砲撃に遭ったり、目を覆いたくなるようなひどい状況で保護されたりした事例を報告しています。
運よく避難できたとしても、安全な住まいを見つけられるとは限りません。賃貸料の高騰や年齢差別により、高齢者が新しい住まいを見つけることは大変困難です。屋根や窓のないような粗末な住居で暮らす人たちもいますが、自分で修理費を払う金銭的余裕はなく、厳しい冬を乗り切れるかが懸念されます。地域の中で高齢者を支えるネットワークも、軍事侵攻により崩壊してしまいました。
高齢者の中には、障がいを持っている人も多くいます。しかし避難所では、障がいを持つ高齢者へのサポートはほとんど提供されていません。その結果、少なくとも4,000人の高齢者が、国の高齢者・障がい者施設への入居を強いられました。ただ、そのような施設であっても、緊急事態下における人手と物資の不足により、十分なケアが受けられないことがあります。
ロシアのウクライナ侵攻により、何百万もの高齢者が安全な住まいを失いました。ウクライナの高齢者の命を守るために、今、国際社会によるウクライナへの惜しみない支援と、ロシアへの働きかけが急務となっています。