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オーストラリア:国際人権法違反の収容主義

2005年7月15日
国・地域:オーストラリア
トピック:難民と移民
「私たちは何の犯罪も犯していないにも関わらず、2年もの間刑務所のようなところで生活してきました。私たちを支援してください。そして、人間であれば誰もが必要とするように、私たちが自由を求めていることを全世界の人々に伝えてください。」ナウルの収容者

「私たちがこの国に来たのは、人権と自由があると聞いたからです。私たちの身に起こっていることが信じられません。私たちに人権はありません。私たちは、ただ動物のようで、人間らしい普通の生活を送ることができません。私たちの感情、思考は停止し、何事につけても悲しみでいっぱいです。微笑むこともできなくなってしまいました。」イブラヒム・イシュラティ(ブリッジングビザ*で滞在している難民)

オーストラリアの難民政策は大変な犠牲を生み出している。本日発表された報告書によると、何ヶ月も子どもたちを有刺鉄線内に閉じ込め、難民申請が却下されたが、出身国に帰ることのできない人びとを無期限で収容しているという。

「オーストラリア:無期限収容の影響~オーストラリアの全件収容主義の改正にむけて」と題した報告書で、アムネスティ・インターナショナルはオーストラリア政府に対し、緊急の課題として、人権を侵害するような収容が起こらないよう全件収容主義及び法制度を改正するよう呼びかけた。

「他国での人権侵害を逃れてオーストラリアに庇護を求める人々は、さらなる人権侵害にあっている。この人権侵害とは、行政処分による長期・無期限の収容である」とアムネスティは述べた。

最長収容者である、現在7年目の収容生活を送るピーター・カシムの事例は、オーストラリア入管による収容の過酷さを物語っているとアムネスティは語った。

アムネスティによると「オーストラリアの全件収容主義は、難民および庇護申請者に対する取り扱いと保護に関する国際基準や、庇護申請が却下された申請者の人権の保護をないがしろにしている。」

オーストラリアでは、適切な書類を持たずに入国する庇護申請者に対して、審査結果が出るまでの間収容する移民法の規定が適用される。申請者は、難民と認定され釈放されるまでの間、もしくは申請が却下され送還されるまでの間、収容期間を延長される可能性がある。

収容の合法性を審査する独立機関がないこと、法律上の収容期限の上限がないため、収容が長期化するだけでなく、申請が却下された申請者の送還が不可能な場合には無期限に収容される。

「6月17日、オーストラリアのジョン・ハワード首相により発表された改正は、特に子どもやその家族に対するより人道的な難民政策への積極的な取り組みの表れといえる。しかし、これらの改正の上でも、オーストラリアの難民と庇護申請者の処遇について、人権の国際的義務の違反は明らかである。」とアムネスティは語った。

「オーストラリア政府はこの報告書に示した改正を実行すべきである。私たちの提言を実行に移すことにより、オーストラリアはその国際法上の義務を履行できる。さらに、この改正により、申請が却下された場合を含む庇護申請者の人権を保護し、人道的な移民政策の実現に貢献するだろう。」

また、オーストラリア政府がいわゆるパシフィック・ソリューションにより他国で恣意的拘禁を行っていることも懸念を表明する。このパシフィック・ソリューションとは、難民認定審査中の申請者をナウル共和国などの南太平洋の島々で受け入れるという合意であるが、オーストラリア政府もナウル政府も、この合意に基づいて行われる収容についての責任を否定している。

背景情報:
オーストラリア移民法において、申請が却下された庇護申請者で出身国に帰還することのできない者が、無期限収容できるとの判決がオーストラリア高等裁判所で最近出された。

アムネスティによると2005年5月29日の時点で、オーストラリア政府によって3年以上入管施設に収容されている者は197人にのぼるとしている。この数字には、ナウルの入管施設での収容者54人(大人48人、子ども6人)も含まれる。収容期間が18ヶ月以上3年未満の収容者を含めると、収容者数は250人にもなる。

オーストラリアで最長期間収容されている、難民不認定となったカシミール地方出身のピーター・カシムの場合には、1998年9月より収容されている。

オーストラリアの人権及び機会均等委員会によると、入管施設に収容される子どもの平均収容期間は、1年8ヶ月11日である。

*ブリッジングビザ(Bridging Visa)
ブリッジングビザはオーストラリアでビザ申請するにあたり、審査結果が確定する前に、現在保持しているビザの期限が切れる場合に発行される。もしくは、ビザの申請が却下された後、再審査中の場合にも発行される。ブリッジングビザには5種類ある。

アムネスティ発表国際ニュース
(2005年6月30日)
AI Index: ASA 12/002/2005

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