揺り戻しを乗り越え世界は死刑廃止へ

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2010年2月25日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナルの暫定事務総長は、死刑に終止符を打つための近年の世界規模での取り組みを歓迎するとともに、完全な死刑廃止という目標を達成するためにさらなる行動が必要であると強調した。

クラウディオ・コルドーネは、ジュネーブでの死刑廃止世界大会に集った各国の代表に対し、活動家たちは死刑廃止に向けた闘いに「勝利」を収めつつあると語った。

「世界中で死刑が廃止されたことを見届ける、その日が近づいている。私たちは死刑を、アパルトヘイトや奴隷制、拷問などと同様に人類の恥ずべき歴史に加えるよう、推し進めていかねばならない」と、コルドーネは24日、第4回死刑廃止世界大会の参加者に語った。

2009年は、近代史上初めて、全欧州地域において死刑の執行がない年となった。ブルンジとトーゴは、国家による殺人を法律から完全に抹消した、世界で94番目と95番目の国になった。同時に、いくつかの国々が執行数を減らし、あるいは死刑の執行を停止した。

それらの国のうちの一つであるパキスタンでは、前年には少なくとも36件の執行があったが、2009年には1件も行われなかった。

2009年に執行をしなかった他の国としては、インドネシア、インド、モンゴル、アルジェリア、バーレーン、モロッコ、チュニジア、レバノン、そしてヨルダンなどが挙げられる。

しかし、イランは政治的な目的のために死刑を執行し、これによって死刑廃止に向けた歩みが妨げられた。中国とサウジアラビアもまた、頻繁に処刑を繰り返し、サウジアラビアとイランは未成年犯罪者に対する処刑を続けている。

「どれだけ多くの人びとが中国で処刑されているのか、正確な数字はわからない。それはいまだに恥ずべき国家機密なのだ」とコルドーネは語った。「一方、米国では、ある死刑囚の執行が2時間かけてもうまくいかなかったために執行延期が言い渡され、彼は今も新たな処刑の日を待っているという、グロテスクな出来事が存在する」

「そのようなおぞましい刑罰に固執し続けるこれらの国々は、国際社会から次第に孤立しつつある。頑なになりつつあるこれらの国々に対し、私たちはさらに確固たる自信をもって挑戦していかなければならない」とコルドーネは述べ、世界から死刑をなくすための闘いにおける市民社会や各国政府、そして政府間機構の間での協力を歓迎した。

2月24~26日にかけてジュネーブで開催中の死刑廃止世界大会には、世界100カ国以上から1900人を超える活動家が一堂に会する。

アムネスティ発表国際ニュース
2010年2月25日