訴追対象から免れる仕組みは、国際刑事裁判所を弱体化させる

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2010年7月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:国際人権法
アムネスティ・インターナショナルは15日、各国が侵略の罪による訴追から自国の指導者を守ることを認めることは、国際刑事裁判所(ICC)の信頼性を弱体化させることであると、カンパラ(ウガンダ)でのローマ規程再検討会議において述べた。

各国は、6月11日まで2週間に渡って開かれた会議において、自国が侵略行為を行った場合に、ICCによる侵略の罪に関する管轄権を免れる仕組みを採択した。

「各国政府は、事実上、12年前に確立したローマ規程の原則を後退させ、侵略の罪の適用を免れることのできる国際司法の二重基準を作り出した」と、アムネスティの国際司法プロジェクトのクリストファー・キース・ホール上級法律顧問は述べた。

また各国政府は、ICCを設立した条約であるローマ規程の第124条を削除することができなかった。この条項は各国に、7年間、自国民が行った戦争犯罪について、ICCの捜査や訴追を免れる権利を与え続けることになる。

国際紛争において長年にわたり違法だとみなされてきた兵器*の使用は今後、ローマ規程8条により、国内武力紛争において使用された場合でも、戦争犯罪の一形態とされることになった。

しかし、この変更を認めた決議においては、複数の国ぐにが、ローマ規程の締約国内で行われたこれらの犯罪の訴追対象から、ローマ規程の非締約国の国民を除外しようと試みた。

肯定的側面としては、世界中のすべての地域の国ぐにが再検討会議を通して、国際刑事裁判所に対する彼らの責務を再確認した。そして、過去8年にわたる裁判所の活動について肯定的な声明を採択した。

「私たちはICCの枠組みを強化する機会を逃してしまった。私たちが必要としていることは、カンパラにおいて確認された各国の責務を具体的な行動に変えていくことである」と、クリストファー・キース・ホールは述べた。

*訳注:ここでいう兵器とは、「毒物又は毒を施した兵器」「窒息性、毒性ガス又はこれらに類するガス及びこれらと類似のす べての液体、物質又は考案物」および「人体において容易に展開し、又は扁平となる弾丸」のことを指す。


アムネスティ発表国際ニュース
2010年6月15日