死刑執行停止を求める公開書簡

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2012年12月27日
[公開書簡]
国・地域:
トピック:死刑廃止

公開書簡: 日本の死刑執行停止への要請
法務大臣 谷垣 禎一 殿

拝啓

貴下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

この度、貴職は日本の新しい法務大臣に就任されました。アムネスティ・インターナショナルは、貴職に対し、死刑の執行を停止し、日本の死刑制度についてその廃止を視野に入れ、国民的議論に向けた積極的なイニシアチブを取られるよう要請いたします。

日本は、現在でも死刑執行をする少数派の国の一つです。昨年、死刑を執行したのは、198カ国中わずか21カ国にすぎません。日本は昨年、死刑を執行していませんが、今年7人を執行しました。G8の国々の中で、日本以外に死刑を執行している国は米国のみです。

死刑廃止を視野に入れた死刑執行の停止を求める4回目の国連総会決議案は先月、国連総会第3委員会で採択されました。この時の投票結果は、賛成110票、反対39票、棄権36票で、同種の決議では賛成が過去最多となりました。同決議案は、今月の国連総会本会議で採択されました。さらに身近なところでは、モンゴルは今年1月、市民的および政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書を批准し、死刑制度廃止の義務を負うこととなりました。

貴職の前任の方々は、日本は死刑廃止が国際的な潮流となっていることを念頭におく必要があるとの認識を示してきました。滝実前法務大臣は先月、「ヨーロッパ諸国は死刑廃止に,そしてまた国連もできる限り執行停止にするべきという決議をしているわけですから,そういう国際的な流れというものを相当頭に置いてやっていかなければいけない」と述べています。日本が死刑の行使を続けていることは、この明白な国際的潮流に逆行しています。

アムネスティは、犯罪の種類や状況、犯罪の有無、犯罪者の特徴、あるいは国家による執行方法を問わず、例外なくあらゆる死刑に反対します。アムネスティは、貴職および法務省に対し、ただちに死刑執行を停止し、日本における死刑の完全廃止を目指した国民的議論を始めるよう要請いたします。

敬具

アムネスティ・インターナショナル
事務総長 サリル・シェティ

公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 若林秀樹

2012年12月26日