武器貿易条約(ATT)署名式にあたって ~今後の日本の役割~

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2013年6月 3日
[NGO共同声明]
国・地域:
トピック:武器貿易条約

6月3日、ニューヨークの国連本部にて武器貿易条約(ATT)の署名式が行われます。

ATTは、通常兵器の国際移転を許可する際のルールを定めた、国連の枠組み内では初の条約です。2013年4月2日、国連総会の場で圧倒的多数で採択されました。6月3日の署名式を経て、50カ国が批准した後に発効します。

ATTについては、2006年から国連でのプロセスが進展し、2012年7月および2013年3月の交渉会議で条約のコンセンサス採択が目指されたものの、交渉は決裂しました。ノーベル平和賞受賞者やNGOなどは、1990年代半ばから、この条約の構想を提案し、2003年以降は「コントロール・アームズ」国際キャンペーンを展開するなどして、武器の国際移転を厳しく規制するための、厳格な内容のATTの成立を訴え続けてきました。

ATTは、ジェノサイド(集団虐殺)や人道に対する罪、および一部の戦争犯罪の遂行に武器が使われるという情報を移転許可審査の時点で持っている場合には移転を禁止し、武器が深刻な人権侵害に使用される等のリスクが大きい場合には輸出許可をしないなど、通常兵器の移転に関するルールを盛り込んでいます。EUや東アフリカ、西アフリカ等以外では、武器の移転に関する共通基準を持たなかった地域もあることに鑑みると、これは歴史的な第一歩です。ただし、アメリカ、中国、ロシア等の国々に対して妥協し、日本を含めた条約推進諸国も各国の事情を主張するなどした結果、規制対象となる兵器の範囲が狭く、各締約国による解釈の余地を残した文言が多く、輸出と輸入に関する各締約国の報告書は非常に大雑把なものでも許容されるなど、さまざまな課題も残されています。

これまで「コントロール・アームズ」キャンペーンに関与してきた日本のNGOは、この署名式にあたり、日本政府に以下のことを求めます。

  1. 署名後、早期のうちにATTを批准し、条約発効前に批准する50か国のなかに入ってください。
  2. 6月3日の署名式あるいは後の機会で、日本がATTの実施において条約の抜け穴を補うことを意味するような宣言を行ってください。例:全ての通常兵器(生産等の技術を含む)の移転に関して、条約上の義務以上の詳細な情報を報告書に記載してATT事務局に提出し、同報告書を一般公開する意思を示すなど。
  3. 東アジアや東南アジアの国々に、早期の署名と批准を働きかけてください。

2013年6月3日
NGO共同声明

このプレスリリースは、以下の団体による共同声明です
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本、特定非営利活動法人インターバンド、特定非営利活動法人オックスファム・ジャパン、特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス、特定非営利活動法人ネットワーク『地球村』

お問い合わせ先
特定非営利活動法人 オックスファム・ジャパン(担当:夏木)
東京都台東区上野5-3-4クリエイティブOne秋葉原ビル7F
Tel: 03-3834-1556/E-mail: midori@oxfam.jp

公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本(担当:川上)
東京都千代田区神田小川町2-12-14晴花ビル7階
Tel: 03-3518-6777/E-mail: ksonoko@amnesty.or.jp