NATO首脳会議:アフガニスタンに市民殺害の免責を残すな

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2014年9月 3日
[国際事務局発表ニュース]
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北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が9月4、5日、英国で開催された。

NATOの国際部隊は、アフガニスタンにおいて10年以上にわたり違法な殺害を行ってきた。この首脳会議で、違法な殺害に司法と賠償をもって対処しなければ、アフガニスタンに免責の風潮を残す恐れがある。

首脳会議の議題の中には、2014年末に治安任務を引き継ぐアフガニスタン治安部隊の支援と訓練がある。

市民の死傷者に対して説明責任がほとんど果されていない事実は、まったく不当で容認できない。治安任務の移行完了を数か月後に控えた今こそ、その問題に取り組むべきである。

アムネスティは、最新の報告書で、アフガニスタンにおける米国とNATO軍が関与した市民の死傷事件について、公正な裁きがまったくなされていないことを明かにした。

報告書は主に米軍に焦点を当てている。米軍は国際部隊の大部分を占め、市民に死傷者が出た事件のほとんどに関わっている。

アムネスティは、調査した2009年から2013年の間に国際部隊の軍事行動で殺害された市民は、およそ1800名と推定している。

紛争での市民の死亡は必ずしも国際法違反とはいえないが、米軍による戦争犯罪の有力な証拠があるケースもある。起訴はほとんどされていない。

NATOは、市民の死傷者の報告を検証する合同事件検証チームなどによりすでに独自の調査を行ってきたが、その調査結果は一般に公表すべきである。

アフガニスタン軍が2015年には全面的に治安任務を負う中、NATOとアフガニスタン政府は、アフガニスタン軍による人権侵害を監視する体制への取り組みを始めた。

アフガニスタンの治安部隊も、多数の人権侵害に関与しているという報告も受けているため、アフガニスタン政府とNATOがこの問題に取り組むことは前進である。

NATOは、アフガニスタンの治安部隊が市民への加害行為を監視・調査し、ときには加害者を起訴する人的物的資源が整い、実効性ある体制を確立する必要がある。

追加の提言

アフガニスタンでは、紛争に関連した暴力と不安定な治安が、国内避難民を生む要因となっている。

紛争による国内避難民は2013年だけでも数万人発生し、現在、63万1286名と推定されている。

NATOはこの問題にも対処し、アフガン治安部隊の能力向上プログラムの中に、国内避難民の発生防止と緩和のための対策も含めるべきである。

NATO はまた、平和と和解のプロセスにおいて女性の役割を強化し、さまざまな分野で女性が公務に参加できるように対策を講じるべきである。

この対策の中には、同国の女性の役割に関する国連安保理決議を完全に実施することも含まれる。

アムネスティ国際ニュース プレスリリース
2014年9月3日