東南アジアの難民危機 今行動しなければ悲惨な未来に

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2015年7月 7日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:難民と移民

この数カ月間、東南アジアの海上では、多数の難民や移民が足止めされてきた。東南アジア諸国がこの問題を協議するため首脳会議を開催してから1カ月が経つが、これまでのところ難民や移民の保護にはほとんど進展がみられない。

5月29日、バンコクでインド洋の非正規移民に関する会議が開かれた。17カ国が参加し、アンダマン海やベンガル湾で発生している人道危機について話し合った。

この会議が行われてから、1カ月が経った。しかし、各国が難民や移民の絶望的窮状に対処するために必要な行動を起こした形跡は、わずかなものだ。捜索や救助活動の調整はいまだ不十分で、自国に上陸した人びとに対する明確な保護措置もまだない。

国際移住機関は5月、主にビルマ(ミャンマー)やバングラデシュの難民や移民など、8,000人が、タイ沖の船上で立ち往生していると推定した。インドネシアとマレーシアは、第三国政府が再定住の受け入れや本国送還を行うことを条件に、7,000人に対して最長1年間までの一時的保護に取り組むと約束した。

海上にいる難民の危機的状況は、峠を越したように見えなくもない。だが、海が穏やかになる10月頃になれば、難民や移民は船に乗って国を出ようとし、事態は再び悪化するだろう。

各国が今行動しなければ、難民は悲惨な状況に陥ることになる。自国で迫害されている人びとが、庇護を求めて国外へ脱出し続ける。これ以上人命が失われないようにすること、そして庇護や移住を希望する人びとに対し各国が安全で合法的な対応を取ることが、極めて重要である。

8月1から6日まで、マレーシアのクアラルンプールでASEAN外相会議が開かれる。

アムネスティは7月1日付けの公開書簡の中で、ASEAN諸国、オーストラリア、バングラデシュに対して、この問題に緊急に対応するように要請している。

対応策には、捜索や救助での各国の連携を強化すること、そして移民や難民の人権保護・尊重を保障することを盛り込まなければならない。また、この問題の根っこにある要因への対応、とりわけ少数民族ロヒンギャへの社会的な差別を撲滅するようビルマ政府に求めることが必要である。

手をこまねいている時ではない。今こそ、危険を承知で海に出た、また今後も出るだろう難民や移民が置かれた状況への対処を強化する時だ。長く続いてきた危機的事態は、決して終わったわけではなく、地域の各国政府にとって最重要課題である。次回のASEAN会議は、地域として包括的な措置を導入する新たな機会である。

アムネスティ国際ニュース
2015年7月1日