難民危機: リーダーズ・サミット 指導力示せず

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2016年9月27日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:難民と移民

オバマ大統領が呼び掛けた「難民に関するリーダーズ・サミット」が9月20日にニューヨークであったが、難民危機の解決に向けた成果はわずかばかりで、必要とされる取り組みとは程遠い内容となった。

各国は、第三国定住、人道支援金、教育、就労機会などの取り組みの拡大を決めた。しかし、その確約内容は、危機対応に必要とされる取り組みとはほど遠かった。前日にあった「難民と移民に関する国連サミット」も、無残な結果だった。

「リーダーズ・サミットは、指導力が危機的な状況にあることをあらわにしただけである。若干の例外はあるものの、多くの首脳はこの難局に十分な対応策を示せず、数百万人の難民が依然として底知れぬ苦難の中に置かれている」とアムネスティのサリル・シェティ事務総長は嘆く。

富める国が、支援金を拠出するだけで他のことには背をむける、などということが許されるわけがない。リーダーズ・サミットでは36万人の再定住が表明されたが、世界には2,000万人を超える難民がいて、その半数がわずか10カ国に集中している。オーストラリアやEU諸国など難民の権利を特に侵害している国々が、わずかばかりの受け入れで危機に対し寛大な対応を示したと胸を張るのは、看過できない。

リーダーズ・サミット参加国は、昨年に比べ45億米ドル増の拠出を約束した。サミットに先立ち、米国は、米国企業51社が難民問題に、総額6億5,000万米ドルを上回る寄付・投資・募金の確約をしたと発表した。この中には、投資家で慈善家のジョージ・ソロス氏の寄付5億米ドルが含まれている。

「つまり、一個人が、最多の人口と第二の裕福さを誇る中国の3億米ドルを上回る額を拠出するということだ」とサリル・シェティ事務総長は指摘する。

「難民の受け入れ表明は小さな前進ではあるが、先の2つの首脳級会合の結果、切実に必要とされるている責任分担の国際的な体制が実現しなかったため、危機解決を大きく遅らせることとなった。各国首脳は、写真撮影に笑みで応えていたが、この乏しい成果では、責任を果たしたとは到底言えない。さらに多くの国が、とりわけ富裕国が、より多く、より公平に、世界の難民を引き受けるまで、世界は歴史の流れに逆行したままだ」

アムネスティ国際ニュース
2016年9月21日