ロシアと中国 恥ずべき拒否権発動

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2017年3月 3日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:地域紛争

2月28日、国連安全保障理事会でシリアでの化学兵器使用に関与した紛争当事者に制裁を科す決議案が採決にかけられたが、ロシアと中国が拒否権を行使し、決議案は否決された。

これにより両国はシリアの何百万人もの人びとの生命を踏みにじった。両国とも化学兵器禁止条約の締約国であり、拒否権行使には弁明の余地はない。

過去6年間、ロシアは、中国の支持を得て、シリア政府への制裁措置を取る決議の阻止を繰り返し、正義を妨げ、シリア紛争の当事者に、国際法を顧みない行動をあおってきた。これでは、シリアでは何をやっても許されるということになる。

シリアの内戦を巡り、ロシアが決議案を拒否するのは、これで7回目だ。今回の決議案では、2013年9月に採択された決議2118の追加決議案で、シリアでの化学兵器生産に関わっていると指定された個人に対する制裁措置および製造に使用される材料の禁輸措置を提案していた。決議2118はロシアと米国が作成したもので、化学兵器の無許可移転や化学兵器の使用に対し、国連憲章第7章に基づく措置を講じることが盛り込まれている。

また、2015年の安保理決議2235では、シリア内戦で化学兵器を使用した場合、その使用者を特定する合同調査メカニズムが設立され、これによりシリア政府と武装組織「イスラム国」が化学兵器を使用したことが明らかになった。

ロシアは今回も、拒否権を行使してシリア政府を擁護し、戦争犯罪や人道に対する罪の責任逃れに手を貸した。新国連事務総長や安全保障理事会理事国は、戦争犯罪の防止や根絶を目指した決議案に賛成票を投じない国が出るような場合は、はっきりと意見を表明することが極めて重要である。安全保障理事会は、常任理事国間の政治的な駆け引きの道具と化しており、そのせいでシリアの人びとが多大な代償を払っている。

アムネスティ国際ニュース
2017年2月28日