化学兵器で北朝鮮がシリアに協力か 人類への背信行為

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2018年3月 2日
[国際事務局発表ニュース]
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ニューヨークタイムズによると、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は2012年から2017年にかけて、化学兵器の製造に使える物資をシリアに輸出していたことが、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの調査で明らかになった。

調査報告書はまだ公表されていないが、供給していたのは耐酸性の特殊なタイルやバルブ、パイプなどだとし、北朝鮮のミサイル技術者がシリア国内の化学兵器施設にいたという情報もあった。

化学兵器の開発、製造、貯蔵、移転、使用は、化学兵器禁止条約で禁止されている。その化学兵器の製造用物資の輸出は当然、言語道断である。まして、その相手先のシリアでは、一般市民に対し繰り返し化学兵器が使用され、多数の犠牲者を出してきた。

報道や活動家の報告によれば、2月25日には、シリアの反体制派支配地域東グータで、またも化学兵器の使用が疑われる攻撃があり、数百人が死亡し、多数が重症を負った。シリア系アメリカ人医師会によると、今回の化学兵器攻撃は今年に入って7回目、紛争が始まった2012年以降で197回もあった。

化学兵器は無差別に人を殺傷するものであり、その使用は戦争犯罪である。

この報告書が正しければ、シリア政府が戦争犯罪と人権侵害を平然と行い、長年にわたって築かれてきた化学兵器禁止の努力を侮っていると示すことになる。また、現行の武器禁輸と検査体制が、明らかに機能していないことも露呈する。

国連はこの報告書を公表し、国際社会は、このような目に余る国際法違反を見逃さないことを、はっきり示す必要がある。

アムネスティ国際ニュース
2018年2月27日