南北アメリカ: 画期的環境条約 活動家を保護

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2018年3月13日
[国際事務局発表ニュース]
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ラテンアメリカとカリブの24カ国は3月4日、環境問題に関する市民参加の諸権利の保護を定めた条約に調印した。

この条約は、環境保護に携わる人たちにとって大きな意味を持つ。

市民が、環境関連情報を入手し、意志決定に参加し、司法や行政手続きを利用する上で、極めて大きな前進である。また、利害関係者などからの脅しや暴力にさらされてきた活動家を保護する責任は国にあると定めたのも、画期的だ。ここまで踏み込んだ条約はこれまで前例がなく、今後、他の地域や国々が環境問題に取り組む上で好例となるだろう。

しかし、条約だけでは十分ではない。加盟国は、条約の規定の履行に向け、具体的な施策の整備と実施に取り組まなければならない。環境活動をする人たちを脅迫や暴力から守ることもその一つだ。

NGOグローバル・ウィットネスによると、昨年、土地や環境の権利のために立ち上がった人たちのうち少なくとも197人が殺害された。このうちラテンアメリカでの事件がおよそ6割を占めており、環境保護活動家にとって危険な地域であることがうかがえる。

この条約は、1992年の地球サミットで合意された「環境と開発に関するリオ宣言」の第10原則の実現に向けたものである。知る権利、意思決定過程に参加する権利、司法手続きを利用する権利の保護について定めている。

環境に関わる意思決定に、周辺住民の意見やニーズ、権利を反映させること、また、権利が阻害されることがあれば、対応・解決にあたることが重要である。そして、その実現には、人権尊重の考え方が不可欠となる。

条約では、環境保護に取り組む人たちの安全の確保、被害申し立てに対する捜査や処罰、彼らの生存権、集会・表現・結社の自由の権利の保障などを義務付けている。

今回、調印に参加した24カ国以外のラテンアメリカ・カリブ諸国(9カ国)も、定められた期間に調印すれば、条約に参加することができる。

アムネスティは、この地域の33カ国すべてに、同条約の調印と批准、そして実践に向けた実効性ある制度の整備・導入を強く求める。

アムネスティ国際ニュース
2018年3月7日