すべての国は死刑執行停止と全面廃止を

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2018年10月10日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:死刑廃止

今年もまた世界死刑廃止デー(10月10日)を迎えた。

死刑囚は、国際人権法と国際人権基準に沿って、人道と尊厳をもった扱いを受けなければならない。罪の軽重を問わず、何人も非人道的な扱いは許されない。

しかし現実には、死刑を存置する国の多くで、死刑囚は独房に隔離され、長年の隔離で深刻な疾患を抱えても満足な治療がままならず、いつ執行されるかもしれないという恐怖の中に置かれている。

このあまりにも過酷な環境に置かないためにも、死刑存置国は、死刑そのものを廃止するべきである。

アムネスティは、長年、死刑囚をめぐる残忍な人権状況を明らかにし、死刑の廃止を訴える活動を続けてきた。ここでは特に、ベラルーシ、ガーナ、イラン、日本、マレーシアの状況を取り上げる。これらの国では、非人道的な状況が常態化している。

ベラルーシの死刑執行をめぐる閉鎖性は際立っており、執行情報は一切公開されず、死刑囚や家族も執行の事前通告を受けない。

ガーナでは、死刑囚はしばしば、長期間、病気の治療を受けることができない。

イランのモハマド・レザ・ハダディさんは、15才で死刑を宣告されてから14年間、少なくとも6回、執行日を告げられては延期されてきた。精神的拷問ともいえる取り扱いだ。

日本では、松本健次さんが、長期にわたる拘禁による影響で妄想性障がいを患っている。

マレーシアのフー・ユー・ワーさんは、2014年に恩赦の嘆願を提出したが、これまで何の回答も受けていない。

アムネスティの調べでは、昨年の死刑執行は、23カ国で993件あった。前年2016年の1,032件から4%減、2015年39%減少した。(2015年は1989年以降で最多を記録。)これらの数値には、死刑に関する情報が国家機密扱いである中国の数千件ともいわれる数値は含まれない。

その中国を除けば、ほとんどの死刑執行は、イラン、サウジアラビア、イラク、パキスタンに集中していた。

アムネスティは、犯罪の種類や状況、犯罪の有無、個人の特質、死刑執行方法などを問わず、例外なく死刑に反対する。死刑は、世界人権宣言にうたわれている生きる権利の侵害である。非人道的で品位を傷つける最も残虐な刑罰である。

アムネスティ国際ニュース
2018年10月10