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ダイヤモンド業界は人権侵害排除に襟を正せ

2018年12月 1日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:企業の社会的責任

5つのNGOが11月12日、「ダイヤモンド業界は、顧客が手にするダイヤモンドが、その採掘、加工、流通の過程で人権侵害と無関係であることを保証すべきだ」とするプレスリリースを共同で出した。NGOは、アムネスティ・インターナショナル、イナフ・プロジェクト、グローバル・ウイットネス、ヒューマン・ライツ・ウオッチ、インパクトの5団体。

「ダイヤモンド業界にとって、事態はひっ迫している。ダイヤモンドに対するイメージは、その価値を決める。しかし、業界には常に、児童労働や強制労働、紛争、環境破壊、利権をめぐる腐敗など、汚れたイメージがつきまとってきた。業界が、これらの問題に真正面から取り組むのであれば、自ら襟を正し、人権尊重とビジネスに責任を負う以外の選択肢はない」とインパクトのジョアン・ロバート事務局長は言う。

11月12日、キンバリー・プロセス総会がブリュッセルで始まった。キンバリー・プロセスとは、武装勢力の資金源になるなどの紛争ダイヤモンドではないことを示す原産地証明の添付を義務付ける制度で、制度設置に関わったのが、ダイヤモンド生産者、宝石商、取引所が加盟するワールド・ダイヤモンド・カウンシルだ。今回の総会では、生産者や宝石商らが、取り扱うダイヤモンドが、紛争との関わりがないことをどう保証するかを協議する。

同カウンシルは10月25日、この原産地証明制度を刷新したと発表した。「新制度で、ダイヤモンド業界は、採掘、加工、流通のサプライチェーンで、紛争とは無縁であることを顧客にしっかり約束できるようになる」と胸を張る。しかし、新制度は、「人権尊重は、企業の自主性に任せる」とするなど、国際基準が求める責任ある企業の対応には、ほど遠い。

同カウンシルは、新制度で自主規制の指針を刷新したというが、ダイヤモンドをめぐる人権侵害の排除に真摯に取り組むのではなく、現行の不完全な制度への批判をかわそうとしているように思われる。私たち5団体は、生産者や宝石商に対し、紛争ダイヤモンドを排除する義務を各企業が認識し、その義務を果たす行動を取ることを求めている。 

ビジネスと人権に関わる国際基準には、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」や経済協力開発機構(OECD)の「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュ-・ディリジェンス・ガイダンス」などがある。個々の企業は、これらの国際基準に従って人権を尊重する責任がある。

その責任とは、人権リスクの特定、そのリスクの排除・軽減、人権状況に与える影響に対する説明などだ。業界が信頼を勝ち取るには、原産地証明制度のような鉱物業界の制度が国際的に認められた基準に沿っていること、また、人権尊重の姿勢が、サプライチェーンに一気通貫で根付いていなければならない。生産者や宝石商らが、国際基準が定めるこれらの指針に沿った対応をすれば、キンバリー・プロセスに不十分な点を間違いなく補えるはずだった。しかし、ダイヤモンド業界はこれまで、実効性ある取り組みをとってこなかった。

国連やOECDは指針の中で、企業に対し人権侵害や悪質な児童労働の排除、社内教育の実施などを企業の責任として課している。新しい原産証明制度は、加盟する生産者や宝石商らに対しこれらの責任の遂行を「奨励する」というだけで、行動を義務付けているわけではない。

「かつてダイヤモンド業界はキンバリー・プロセスづくりに関与し、サプライチェーンから紛争の影を排除するなどの取り組みで指導力を発揮し、国際的に高い評価を得ていたはずだ。しかし、ここ10年、いくらでも改革機会があったにもかかわらず、責任あるビジネスの国際基準づくりで後塵を拝してきた。企業にとって、人権尊重は選択肢ではない。ワールド・ダイヤモンド・カウンシルは、加盟する生産者や宝石商らに国際基準に沿った行動を要求すべきだ」(アムネスティ・インターナショナル:ルーシー・グラハム調査員)

「新制度では、採掘や生産に関わる地域や住民は、搾取や児童労働など人権侵害を受けるリスクは極めて高くなり、一方で購買者には、『ダイヤモンドは、紛争に加担していない』という誤ったイメージを植え付けてしまう。これでは、業界が取るべき対応にはほど遠い」(イナフ・プロジェクト:ブルックス・ロビン事務局長)

新制度では、消費者にダイヤモンドは、「紛争とは無縁だ」というお墨付きを出すことはできないのだ。

「制度の刷新に理解を得ようとするなら、業界は、国際基準に沿った実効性ある対応を早急に取るべきである」(ヒューマン・ライツ・ウオッチ:ジュリアン・キッペンバーグ)

アムネスティ国際ニュース
2018年11月12日

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