国連:新疆ウイグル自治区での大量拘束に対して行動せよ

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2019年2月10日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:先住民族/少数民族

アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウオッチ、インターナショナル・サービス・フォー・ヒューマンライツ、世界ウイグル会議の4団体は国連加盟国に対し、新疆ウイグル自治区でウイグル人らが多数拘束されている件に関して声明文を出した。内容は、同自治区に事実調査団を派遣する決議を採択するよう、国連人権理事会に求めるものだ。この声明文は、他の多数の団体からも幅広い支持を受けている。

中国当局は、国や共産党への忠誠心が足らないなどとして、100万人のウイグル人などトゥルク系イスラム教徒を法手続きなしに、恣意的に拘束している。拘束されているウイグル人たちは、政治思想や信条の放棄を迫られ、暴行されることもある。

「新疆ウイグル自治区の人権侵害は、その規模があまりに大きいため、人権理事会による徹底した調査が不可欠だ。人権理事会は、中国が理事国としての地位やその国際的経済力を盾に、説明責任を回避することがないようにしなければならない」(ヒューマン・ライツ・ウオッチのケネス・ロス代表)

これまで、国連の専門家、条約機関、国連人権高等弁務官らが、新疆ウイグル自治区での状況に重大な懸念を示し、中国政府に対して調査を認めるように求めてきた。しかし、中国は、いずれの要請にも前向きな反応は示さなかった。

もっとも昨年末から今年初めにかけ、中国は、報道関係者や外交官らを「職業訓練施設」に案内したようだ。国営メディアによると、視察した人たちは、「中にいる人たちは元気で、環境も結構いい」と評価したという。

「中国はこれまで、同自治区での恐ろしい事態に対する疑念に誠実に応えず、お茶を濁してばかりいた。この手は、人権理事会の調査団には通じない。このことを中国はよく認識しておくべきだ」(アムネスティ・インターナショナルのクミ・ナイドゥ事務総長)

決議案は国連人権高等弁務官に対し、新疆ウイグル自治区への調査団の派遣、調査の実施、調査結果の報告を求めるものとなることを期待する。決議にあたっては、中国が国外の専門家による調査に前向きに協力することをとりつけ、調査に一切の制限や監視をつけてはならないと強調すべきである。さらに、中国に対して、人権理事会理事国として最高レベルの人権基準を支持し、人権理事会への全面協力を約束する義務があることを確認すべきである。

「中国の人権状況の悪化は長年の課題だが、今回がその状況を変えるきっかけになるだろう。自国の市民100万人を不当に拘束していい国など、あるわけがない。人権理事会の理事国が、人権推進を重大な義務と捉えるなら、中国への調査団派遣は、人権理事会として当然のことだ」(インターナショナル・サービス・フォー・ヒューマンライツのフィリップ・リンチ代表)

「あまりに長い間、ウイグル人などのイスラム教徒は、当局から激しい迫害を受けてきた。人権理事会が直ちに行動し、真相を究明することを期待する」(世界ウイグル会議のドルクン・エイサ会長)

2月25日に始まる次の人権理事会では、昨年11月に行われた中国の普遍的定期審査の結果が検討される。中国は同審査で、新疆ウイグル自治区における人権侵害疑惑を否定した。

アムネスティ国際ニュース
2019年2月4日