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ソマリアの軍事作戦で民間人犠牲をひた隠す米軍

2019年4月 1日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:地域紛争

米国は過去2年間、ソマリアでの軍事作戦で、無人機と有人機による100回以上の空爆を行ったが、100回のうち5回だけでも民間人の死者14人と負傷者8人を出している。5回の空爆は、首都モガディシュ郊外のアル・シャバブ(イスラム系武装組織)地域であった。

アムネスティは、民間人がどのような状況で空爆を受け、犠牲になったのかを詳しく調査した結果、これらの攻撃には、国際人道法に違反し、戦争犯罪に当たるおそれがあることが分かった。

アムネスティは、米アフリカ軍(AFRICOM)に対して空爆で民間人の死傷者を出している事実を指摘したが、同軍担当者はその事実を繰り返し否定した。

わずか5回の空爆で民間人14人の死者が確認できたことを考えると、ソマリア紛争での米国の役割をめぐる秘密主義には、民間人殺害の責任を回避する狙いがあると考えられる。

2016年以降、米軍による空爆は、それまでの3倍の100回を超えた。これは、リビアとイエメン2カ国での空爆を合わせた数より多い。これだけの攻撃回数で市民に死者を出していないという主張は、あまりにも非現実的だろう。

アムネスティは、空爆の目撃者や避難者、軍事専門家ら150人以上に聞き取りをした。また、衛星写真、武器の破片、空爆被害の写真などを徹底分析した。

トランプ大統領令以降、爆撃急増

トランプ大統領が2017年3月、南部ソマリアは活発な戦闘地域だと宣言した大統領令に署名した後、空爆が急増した。

その後の9カ月間での空爆は34回にのぼり、前年までの5年間の総数を超えた。空爆は年々急増し、昨年は47回、今年は1、2月だけですでに24回に達した。

元米軍幹部は、「爆撃の頻度が増すにつれ、民間人は殺してはならないという意識が薄れる。残念ながら、大統領令で空爆対象が拡大し、事実上アル・シャバブを支持する村人も攻撃対象に入った」と話す。民間人を巻き込む広範囲な攻撃は、国際人道法に違反する。

証拠が示す民間人犠牲

5回の爆撃で、民間人14人が死亡し、8人が負傷したことを示す確かな証拠があり、これらの爆撃は、国際人道法に違反し、戦争犯罪にあたる可能性がある。

その1つが、2017年11月12日にあったダルサラームの農業地帯での空爆で、農民3人が犠牲になった。深夜に灌漑用水路を掘る作業をしていた時に起きた、突如の攻撃だった。

アムネスティは後日、目撃者の証言と一致する遺体の写真を解析した。1人は、砲弾の破片で頭蓋骨は破壊され、前腕部は吹き飛ばされていた。もう1人は、兵器の破片で体中があばたになっていた。

「繰り返し攻撃してきた」という農民の証言や爆撃現場の写真などから、砲弾は、グライダー型の砲弾であることは明らかで、この砲弾を発射できるのは、米空軍の大型対地攻撃機AC130しかない。米アフリカ軍は空爆は認めたが、亡くなったのは戦闘員だと主張した。
かつてのソマリアでの空爆ではなかったAC130の投入は、紛争の激化を物語る。

イリメイで2017年12月6日、走行中のアル・シャバブのものとみられるトラックが爆発し、民間人5人が死亡した。爆弾は強力で、周辺の建物が損壊し、14キロ離れたところからも爆音が聞こえ、巨大な雲煙が見えたという。

証言や衛星写真などから、爆発は、爆撃機から発射された砲弾が命中したことで起きたものと思われる。一方、米アフリカ軍は、この軍事行動も否定した。

なお、この5回の空爆以外でも、民間人の死傷者を出していると考えられるが、それを裏付ける十分な証拠は得られなかった。

米国は説明責任と賠償を

米軍はソマリアにおいてこの2年間あまりで、今年1月、2月の24回を含めて少なくとも100回の空爆をした。

米軍の攻撃で犠牲になった人びとが、加害者責任を問い、賠償を得ることは、まず期待できない。家族や住民の被害状況を報告することさえ、報告に伴う身の安全上の問題や攻撃の場所などを考えるとほぼ不可能だ。

米政府は、民間人死傷者の申し立てに対する調査、説明責任、犠牲者への賠償を保障するべきである。

米国とソマリア両政府は、必要な情報を公開し、犠牲者の家族や被害者が申し立てをできる仕組みを作る必要がある。そうでなければ、被害者らは、訴える手段もなく途方に暮れるだけである。

アムネスティ国際ニュース
2019年3月20日

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