- 2019年9月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:
- トピック:強制立ち退き
エスワティニの複数の村で、住民数百人がいつ強制退去を受けるかわからない状況に置かれている。
退去通告を受けるおそれのある人たちは、将来のことを考えられなくなっており、路上生活を余儀なくさせられる可能性に打ちのめされている。実際、これまでも、国際法に違反して、事前通告や協議、満足な補償もなく強制退去が行われ、多くの住民が貧弱な家屋で、窮乏生活を送ってきた。
強制退去の対象となるのは、主に貧しい自給自足の農民だ。その多くは、国の土地管理制度の不備で居住権が与えられず、強制退去の対象となりやすい。エスワティニでは、大部分の土地は国有地で、国有地を預かった国王がその権限で部族長を通じて各家族や個人に割り当てられる。
立ち退きで失うのは住処だけでない。農地も取り上げられてしまうため、生活の糧を失い、貧困に拍車がかかる。
迫る立ち退き
現在、少なくとも4つの村が、自宅と農地の明け渡しを迫られている。
シゴンベニでは、昨年3月に裁判所が一地区の住民の立ち退きを決定したため、7農家、104人がいつ立ち退きを受けてもおかしくない状況にある。農地の所有者は、今後、人を住まわせることを考えていない。
マドンサでは、58家族の200人以上が、強制退去を受けるおそれがあり、エンブムンジラでは、約100人が退去を迫られ、ブブランでは、16家族がいつ退去させられるかわからない状況に置かれている。
前向きな出来事
一方、前向きな話題もある。
高等裁判所は2月、関係省庁に対し、立ち退きで受けた損害に慰謝料を支払うよう命じた。また、別の家族の裁判では、最高裁判所が3月に、立ち退きは違法で私企業から補償を受ける権利がある、との高裁決定を支持した。
今年初め、当局はアムネスティに対し、国内外の人権基準に沿った適切な保護措置が整備されるまで、一旦すべての立ち退きを停止すると約束した政府は、この約束を公表すべきである。当面立ち退きを受けないことがわかれば、住民の不安の軽減につながる。
アムネスティ国際ニュース
2019年8月29日