ブータン:同性愛の非犯罪化へ決断を

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2020年1月15日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:性的指向と性自認

© Pride walk in Kolkata, India in 2019 (NurPhoto)
© Pride walk in Kolkata, India in 2019 (NurPhoto)

この1月、ブータンの国家評議会(上院)は、刑法の同性間の性行為を禁止する条項の削除を求める改正法案を審議する。議会は、速やかに法案を可決し、同性間の性行為を非犯罪化すべきである。

これまで同国の刑法は、「自然の摂理に反する不自然な性行為」にあたるとして、同性間の性行為を処罰の対象としてきた。

昨年6月、国民議会(下院)で財務大臣のナムゲィ・ツェリン氏が、刑法改正案の一部として、同性愛の禁止条項を削除する動議を提出し、圧倒的多数の賛成を得た。今回、国家評議会で法案が可決されれば、国王の裁可を受け、正式に改正法が成立する。

この法改正は、すべての市民がその性的指向や性自認にかかわらず、平等の権利を享受する上で、重要な一歩となる。

市民の幸福度を重視する国として、ブータンは、合意に基づく同性間の性的行為を違法とする法律を速やかに廃止しなければならない。

これまで、同性愛禁止法が現実に適用されたことはないとされるが、差別的な法令の存在そのものが、社会を萎縮させ、LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、 トランスジェンダー、インターセックス)の人びとへの差別意識を増幅し、さらなる嫌がらせや脅し、暴力を引き起こす。

平等の権利を求めて活動する人たちによると、LGBTIの人びと、中でも社会の底辺にいる人びとが、職場、学校、病院などで差別や嫌がらせを受けやすい。

法改正は、LGBTIの人びとが差別を受けない社会の実現に向けた一歩となる。差別をなくし、すべての市民の平等を促進する上で、法改正は重要な意味を持つ。ブータンのみならず世界のLGBTIの人びとが、その歴史的決断に期待を寄せている。

背景情報

2017年に子どもの権利委員会は、第3回から5回までの統合定期報告書にもとづく総括所見の中で、ブータン政府に対しLGBTIの子どもを含む児童間の暴力、性的嫌がらせ、いじめなどの問題を指摘し、その対策の立案と実施を求める勧告を出した。

アムネスティ国際ニュース
2020年1月9日