アムネスティは世界中の「良心の囚人」の釈放を求める

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2020年5月26日
[国際事務局発表ニュース]
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(C) Amnesty International
(C) Amnesty International

アムネスティは、世界各国に対して新型コロナウイルスの大流行で深刻な健康被害にさらされている世界中の「良心の囚人」を即時無条件で釈放するよう求めている。

アムネスティは、良心に基づく信念、信仰や人種、性的指向などを理由に、不当に拘束されている人たちを「良心の囚人」と呼ぶ。

ウイルスが世界を席巻する中、どの刑務所でも集団感染が起こるおそれがあり、収監されている人たちへの保護策が、今ほど強く求められている時はない。

そして、その人たちの中には、表現や集会の自由の権利を行使しただけで投獄されている「良心の囚人」がいる。

多くの刑務所は過密で不衛生なことから、囚人は、人との距離を保ち、常に手洗するなどの感染対策を取ることができない。不当に拘束されたことにより、感染リスクが高くなっているのだ。

世界には、「良心の囚人」と見なされる人が数千人もいる。今、アムネスティは、「良心の囚人」およそ150人の釈放を求めて、精力的な運動をしている。

典型的な「良心の囚人」の1人が、ベネズエラのルベン・ゴンサレスさんだ。

労働組合運動家のゴンザレスさんは、国営採掘企業の労働者を支援し、その権利を擁護していた。2018年11月、軍関係者を襲ったとして恣意的に逮捕され、5年9カ月の実刑判決を言い渡された。

裁判は軍事法廷で行われ、確たる証拠もなく、有罪となった。公正な裁判を受ける権利を奪われ、明らかに政治的な理由で投獄されたのだ。ゴンサレスさんは腎不全と高血圧の持病を抱えており、コロナに感染すれば命を落とす危険さえある。

イランの人権弁護士、ナスリン・ソトゥデさんも「良心の囚人」の1人だ。

2018年6月に逮捕され、著しく不公正な裁判で禁錮38年6カ月とむち打ち148回の刑を下された。ヒジャブ着用を義務付ける法律に抗議し、公の場でヒジャブを着用しなかったなどが、「堕落と売春の扇動」「邪悪な行為」とみなされた。死刑に反対する活動も問題視さた。

クリミア・タタール人のエミール=ウセイン・ククさんは、ロシアが占領するウクライナのクリミア半島で頻発していた強制失踪などの人権侵害を調査・告発する活動をしていた。

2016年2月に逮捕され、3年以上も勾留された後、昨年11月、ロシアの軍事法廷で裁かれ、5人の共同被告人とともにでっち上げのテロ関連罪で実刑判決を受けた。それぞれ 7年から19年の刑だった。

5人は、ムスリム・アリエフさん、ヴァディム・シルクさん、エンバー・ベキロフさん、アーセン・ジェフパロフさん、レファト・アリモフさんだ。

アムネスティは6人全員を「良心の囚人」と見なしている。

新型コロナのパンデミックの中での不当な拘束ほど、残酷で無謀な行為はない。

一人ひとりの人権尊重は、コロナ危機と闘う上での基本であり、コロナ後、個人が自由に発言できる公正で寛容な未来を築いていく上でも、中心にあり続けなければならない。

背景情報

アムネスティは現在、約150人の「良心の囚人」の釈放のために活動している。正確な人数は、釈放や死亡などの変動要素があるため、その時々で変わる。

エミール=ウセイン・ククさんの場合のように、1つのケースに複数の「良心の囚人」がいることもある。

アムネスティは各国政府に対して、「良心の囚人」の釈放に加え、刑務所の混雑緩和などのコロナ対策も求めている。

裁判前の拘禁や少年犯罪の取り扱いの見直し、あるいは高齢者や基礎疾患者など特に健康リスクが高い人びとの早期、一時的、条件付き釈放の検討なども求めている。

また、収監中の人たちに対しても個別状況に応じた医療、および一般社会と同等レベルの医療の提供を求め、最大限の感染対策を取ることを訴えている。

1961年の設立以来、アムネスティは、「良心の囚人」数千人を支援する活動を続けている。

アムネスティ国際ニュース
2020年5月4日

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