トリニダード・トバゴ:ベネズエラ人の強制送還は国際法違反

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. トリニダード・トバゴ:ベネズエラ人の強制送還は国際法違反
2020年8月13日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:トリニダード・トバゴ
トピック:難民と移民

(C) Ministry of National Security T&T
(C) Ministry of National Security T&T

トリニダード・トバゴ当局は、この数週間で少なくとも165人のベネズエラ人を強制送還した。当局は、国際人権基準に反して非正規入国を違法行為とみなしている。

7月を通して、メディアは、当局が隣国ベネズエラからの非正規入国者を逮捕し、強制隔離処分にしたというニュースを何度も報じていた。

非正規入国への警察官の関与も取り沙汰され、20数人の警察官の取り調べが進められているという報道もある。

7月25日の記者会見では安全保障大臣が、非正規移民、ボート・ピープル(安全を求めて小船で国を脱出する人たち)、彼らの入国を手引きする業者の三者は、新型コロナウイルス感染拡大リスクがあるとして、彼らを見かけた市民が通報するホットラインの開設と電話番号を発表した。

記者会見では、昨年の特別恩赦で滞在と就労の許可を得たベネズエラ人でも、非正規移民をかくまえば滞在許可証が剥奪され国外退去となること、また、家主が非正規移民に部屋を貸せば、刑事罰に問われることも明らかにされた。

警視庁も非正規移民がウイルス感染拡大の次の波を引き起こす危険性があるとして、不審者を見れば通報するようフェイスブックで呼びかけた。

投稿の直前には、地元の人権NGOが、業者の手引きで同国に連れてこられた可能性のあるベネズエラ人の女性や子どもについて、送還ではなく、難民申請手続きの機会を提供するなどの支援を政府に求めていた。

ベネズエラは現在、新型コロナウイルスの感染拡大の中で人権と人道の危機にある。その危機から逃れてきた難民を同国に送り返すことは、トリニダード・トバゴの国際法上の義務を放棄する暴挙と言える。国は、重大な人権侵害を受けるおそれがある国や地域に、人びとを送還してはならないのだ。

新型コロナウイルスの大流行は、どの国にとっても大きな脅威であり、感染対策として出入国を規制するのはやむを得ないだろう。しかし、トリニダード・トバゴ当局が推し進めているのは、感染阻止を建て前にした外国人排斥だ。これでは、国際社会の庇護が必要な人びとに対する、誤った非難と差別を助長させるだけだ。

当局が、非正規難民やその支援者を犯罪者とみなすようになったため、庇護を求める人たちは、ますます人目を忍ぶ生活を余儀なくされ医療制度からも排除されている。

政府は、NGO、国連諸機関、すでに国内に定住する数万人のベネズエラ人と協力して、国際人権義務に沿った解決法を見出すべきだ。

アムネスティ国際ニュース
2020年8月6日

英語のニュースを読む