新型コロナウイルスの画期的なワクチン 富裕国が買い占め

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2020年11月12日
[国際事務局発表ニュース]
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(C) Costfoto/Barcroft Media via Getty Images
(C) Costfoto/Barcroft Media via Getty Images

米ファイザーとドイツのビオンテックは、開発中の新型コロナウイルスのワクチンで、治験者の90パーセントで有効性が確認できたと発表した。新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、大変歓迎できるニュースだ。

両社は、年内に5千万回分、来年は13億回分のワクチンを供給する計画だ。しかし、すでに複数の富裕国と10億回分超の供給契約を結んでおり、世界の他の国々用に残された摂取回数は、供給量全体の4分の1以下となる見込みだ。このような2国間取引が交わされると、世界全体で、科学の飛躍的進歩の恩恵を享受することができなくなるおそれがある。大手製薬会社は、自社の利益より数十億人の健康を優先すべきである。ファイザーとビオンテックは、人びとの命を守るため、低中所得国へのワクチン供給をどう増やしていくかを早急に明らかにしなければならない。

世界保健機構(WHO)は5月、新型コロナウイルスのワクチン、治療薬、診断ツール等に関する科学的な知見やデータ、知的財産などを国際公共財として共有するためのイニシアチブ「新型コロナ感染症に関わるテクノロジー・アクセス・プール(C-TAP)」を立ち上げた。この取り組みを通じて、両社は、ワクチン技術を他の製薬会社と共有し、世界が必要とする数十億回分のワクチンを、迅速かつ低コストで製造できるようにすべきだ。

新型コロナ危機は、世界のすべての人が乗り越えるまで終わらない。

背景情報

ファイザーとビオンテックが、契約した国・地域と摂取回数は、それぞれ初回分が、米国1億回、英国3千万回、日本1億2千万回、カナダ2千万回、ニュージーランド150万回、EU2億回など合計10億回超だ。両社は、米国に追加で5億回分、EUに1億回分を供給することでも合意している。

新型コロナ感染予防には、ワクチンを2回接種する必要がある。

世界保健機関がC-TAPを立ち上げたとき、ファイザーの最高経営責任者は、「馬鹿げている」と述べた。これまでのところいずれの企業も、まだ参加を決めていない。

アムネスティ国際ニュース
2020年11月9日

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