- 2021年4月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:
- トピック:
(C) Tim Werwie for Amnesty International
欧州評議会は、拷問・処刑具の取引を阻止する上で大きな一歩を踏み出した。閣僚委員会が、死刑、拷問、その他の残酷で非人道的または屈辱的な扱いに使用される可能性がある器具の取引を加盟国が適切に規制する枠組みを盛り込んだ勧告を正式に採択したのだ。閣僚委員会は、欧州評議会の意思決定機関であり、47の加盟国の代表からなる。
アムネスティとオメガリサーチ財団は欧州評議会加盟国に対し、今回合意された勧告に従って行動するよう求める。
アムネスティ欧州地域ディレクターのニルス・ムイズニックスは次のように述べた。
「アムネスティは、欧州評議会の断固とした行動を歓迎する。拷問器具の取引を止めることなくして拷問をなくすことはできない。47カ国の欧州評議会加盟国は、苦痛を引き起こす器具の取引に関与しないことを確約するためにも、勧告内容を迅速に実行すべきだ」
欧州評議会の拷問器具の取引規制は、世界中の警察機関の暴力的な取り締まりを抑制する上でも欠かせない。勧告は、「特定の警察装備品の取引は、人権の尊重が前提だ」という明確なメッセージを各国に送っている。
画期的勧告
勧告には、スパイク警棒、重り付き足かせ、装着型電気ショック兵器など、虐待目的の器具の取引禁止規定が盛り込まれている。また、拷問や虐待に悪用されるおそれがある唐辛子スプレー、催涙ガス、電気ショック銃など、標準的な法執行用装備品の取引を厳格に管理する狙いもある。また、勧告は、薬殺刑の執行に悪用されるおそれがある特定の医薬品の取引を規制する上での指針も示している。
アムネスティとオメガリサーチ財団は長年にわたり、法執行機関向け装備品の取引を規制し、拷問器具取引の全面的禁止を各国政府に働きかけてきた。そして国や地域機関と協力して、国や地域内での取引の基準・仕組みの導入とその後の強化を推進してきた。それらの取り組みには、画期的なEU拷問禁止規則の2020年度の見直し、拷問取引の阻止に向けた世界初の法的拘束力を伴う地域的施策の後押し、人および人民の権利に関するアフリカ人権委員会によるアフリカ全土を対象とする施策の継続的支援などもある。
一方、世界の60を超える国が集結した「拷問に関与しない貿易のための国際的提携」の協力を受けた国連は現在、拷問器具取引を世界的に規制する国際基準を模索する手続きに入っている。
オメガリサーチ財団の研究員マイケル・クロウリー博士は、次のように述べている。
「欧州評議会の画期的な勧告採択は、ヨーロッパ圏以外の国々にも重要な基準を提供し、それぞれの地域での同様の規制に向けた各国の奮起につながることを願う。国連で進行中の手続きに、今、最も必要な弾みがつくことにもなる。拷問器具や処刑器具の取引に対処する法的拘束力のある国際的制度の設置に向け、協議の道が開かれることを期待したい」
アムネスティ国際ニュース
2021年3月31日