- 2021年7月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:エスワティニ
- トピック:
アフリカ最後の絶対君主制国家エスワティニでは、治安当局が、扇動・転覆活動防止法やテロ防止法などの抑圧的な法律を乱用して政府批判を封じ、弾圧に抗議するジャーナリスト、人権活動家、政治活動家らが投獄されている。
長期化する民主化デモに対し、当局は手段を選ばない弾圧に乗り出し、人権活動家を含むデモ参加者多数を拘束し、拷問を加え、殺害する事態になっている。
アムネスティは当局に対し、抗議市民への弾圧をやめ、市民が報復をおそれることなく自由に発言するなどの権利を行使することを認めるよう強く求めている。
当局の暴力的対応で、これまでに少なくとも20人が亡くなり、6 人が行方不明になっている。警官の銃撃で負傷するなどして、少なくとも150人が病院に搬送された。
また数百人が、故意の器物損壊などの容疑で逮捕された。新型コロナウイルス感染症が流行する中、拘置所の収容能力が深刻な問題になっている。
デモ参加者側に暴力行為がないとは言えないが、当局は、平和的にデモを行っている市民の権利を尊重し、武力ではなく適切な対応を取るべきだ。
6月に抗議デモが始まって以来、人権活動家らは、不当な監視を受けるなど当局の嫌がらせを受けてきた。抗議に参加した多数の市民が、実弾の使用など過剰な力で応じる軍や警察などの当局に殺害されている。
デモのきっかけは、5月に一人の学生(25歳)の遺体が、殺害現場から10キロ離れた場所で見つかり、警察の手によるものではないか、という疑いが浮上したことだった。6月に始まった若い活動家たちが主導するデモには、これまで何年にもわたり自分たちを抑圧してきた国に改革を求める強い思いが込められている。
当局は、外部の法医学者らに犠牲者の検死を依頼し、死亡状況や死因などを十分検証すべきだ。また、治安当局による過剰な力の行使に対して、迅速かつ公正な捜査を行い、市民を殺傷した容疑者を特定し、法的対応を取るべきだ。
また当局は、デモ開始以来、多国籍企業MTNなどの通信企業の協力を得て、通信やインターネットを遮断し、オンラインでの情報のやりとりを規制している。通信規制は、表現と情報の自由の権利の重大な侵害であり、当局は、規制を解除すべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2021年7月2日