COP26:人類への裏切り 企業の利益に屈し保護すべき人びとを切り捨てる首脳たち

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2021年11月25日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:気候変動と人権

© Pierrot Men for Amnesty International
© Pierrot Men for Amnesty International

英国グラスゴーでの国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が11月13日、閉幕した。参加国は、気候変動の影響を最も受けている人びとの保護に与することができなかった上、化石燃料企業を含む強大な業界に屈したことで、世界中の人びとを壊滅的なまでに裏切った。

会議では、地球や人びとを保護する対策で成果を打ち出すことはできなかった。また、国連設立時の大原則、国家ではなく人びとを優先するという誓約に反いた。

会議開催中、参加国は、私たちの人としての権利を蔑ろにし、侵害し、あるいは安売りするかのような選択をし、社会の隅に追いやられた世界中の人びとを、犠牲にしてもいい巻き添え被害者かのように切り捨てた。

気温上昇を1.5度に抑える目標達成向けた具体策に乏しく、主にグローバル・サウスの5億人以上を水不足に追いやり、数億人を極度の熱波にさらすことになるだろう。

これほどに最悪のシナリオにもかかわらず、富める国々は、気候変動で被害を受ける国への補償に向けた資金提供も約束しなかった。

また、途上国に対する補助金として気候関連資金援助を拠出する決議もなかった。これでは、気候変動に最も脆弱な貧しい国々に、持続不可能なレベルの負債を背負わすことになりかねない。

人としての権利に寄り添うのではなく、化石燃料企業におもねった末の、抜け穴ばかりが目に付く今回の合意には、激しい落胆を覚える。

今回の合意は、化石燃料とその補助金の段階的全廃を求めておらず、危機的な現状に必要な情熱と大胆な行動の欠如を露わにした。

さらに、環境や人権に対する十分な保護措置もなく、豊める国によるカーボンオフセット(植林や森林保護などで二酸化炭素を吸収したりクリーンエネルギー事業に出資したりすることで、温室効果ガス排出削減が困難な分を埋め合わせること)の取り組みは、そのしわ寄せで先住民族が土地を追われるおそれがあることをまったく無視している。このようなうわべだけの対策は真の排出ゼロの代わりにはならず、受け入れがたいことだ。

グラスゴーでの締約国合意は、地球上のすべての人びとに深刻な結果をもたらすだろう。参加国は、最も配慮すべき人びとの存在を蔑ろにしたことが明らかであるだけに、人びとは協力して、何が成し遂げられるかを各国政府に示さなければならない。

1年後のCOP27に向け、私たちは共に立ち上がり、自国政府に対し人と人権を核に据えた野心的気候変動対策を取るよう呼びかける必要がある。人類にとって脅威となっているこの問題の解決に向け、私たちは今こそ、全力で取り組まなければならない。さもなければ、すべてを失うことになる。

アムネスティ国際ニュース
2021年11月13日

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