- 2022年7月15日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:
- トピック:難民と移民
シリア北西部での人道支援を1年延長する国連安全保障理事会の決議案が、ロシアの拒否権行使で否決された。
安保理では過去2年のシリア検問所2箇所の閉鎖に始まり、シリア市民を支援する今回の国連枠組みの停止に至るまで、ロシアと中国への妥協が繰り返されている。今回の決議案には、シリア人への支援継続に向けロシアに対するさらなる妥協案が盛り込まれていたが、ロシアに拒否される結果となった。
ロシアは、延長を6カ月間に短縮する代替案を提案していたが、支持したのはわずか2カ国で、可決に必要な9カ国に遠くおよばなかった。
今回のロシアの拒否権行使で、シリア北西部で国連支援に頼らざるを得ない少なくとも400万人が事実上、その命綱を断たれることになる。その結果、子どもを含むシリア市民は、食糧、住宅、水、医療など生存に欠かせない物資やサービスを受けることができず、深刻な人道危機に直面するだろう。
今回のロシアの対応は無責任な政治的駆け引きの結果だが、その代償を支払うのは何の罪もないシリア人だ。
ロシアは拒否権の行使をやめ、シリア市民の支援延長を支持する14カ国目の安保理国になるべきだ。
背景情報
国連が国境を越えてシリア市民を支援する枠組みは、国連と実施機関がシリア政府に認可を求めることなくシリア市民を支援するために2014年の国連決議で設置された。その後、国連と実施機関、人道団体が、トルコ経由でシリアに入り、北西シリアで生活する避難民などに食糧、水、衛生、保健、教育、保護などの支援やサービスを提供してきた。
シリア北西部の国内避難民は国から経済的・社会的権利を否定されたために、国外からの支援に頼らざるをえず、極度に脆弱で悲惨な生活を送っている。アムネスティは新しい調査報告書でその様子を訴えている。
アムネスティ国際ニュース
2022年7月8日