ロシア/ウクライナ:「住民投票」は茶番 国際法違反の占領地併合を許してはならない

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2022年9月30日
[国際事務局発表ニュース]
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ロシアは、占領地であるウクライナのドネツク、へルソン、ルハンスク、ザポリージヤで、「ロシアへの編入」を問う「住民投票」を行い、その結果を発表した。

ロシア兵らの立ち合いのもと、銃を突きつけられて行われたこの「住民投票」の結果には、いかなる正当性もない。占領地を違法にロシアに併合しようとする策略であり、ロシアが国際法と占領地域の人びとの権利をまったく無視していることをあらためて露呈した。

ジュネーブ第4条約は、占領地の併合や占領国が被占領民から条約の保護を奪うなどの行為を明確に禁止している。

「住民投票」の結果、ロシアが何を主張しようとも、占領地域の国際法上の法的地位が変わることはない。クリミアと同様、併合に向けた動きは違法であり、ロシアによるまたもや明白な国際法違反となる。

ロシアは、国際人道法の下での占領国としての義務を尊重し、すべての違法行為を直ちに停止すべきだ。そして、ウクライナへの侵略を直ちにやめなければならない。また、戦争犯罪を含む国際法上の犯罪に責任を負う者は、裁きを受けるべきだ。

背景情報

9月20日、親ロシア派が支配する4地域のロシア当局とその代理人が、ロシアへの編入の是非を問う「住民投票」を実施すると発表した。

9月23日、ロシアと代理人は、住民から「投票用紙」を回収する戸別訪問を開始した。「住民投票」は5日間実施された。

9月27日、ヘルソン州とザポリージャ州のロシア支援の「行政」、ドネツクとヘルソンのいわゆる「人民共和国」が、この違法は住民投票の結果を発表。投票率は非常に高く、ロシアへの編集支持は87パーセントから99.2パーセントと圧倒的多数であると主張した。占領し支配する地域の法的地位を変更しようとする試みは、国連憲章の明白な違反であり、国際人道法に基づく住民の権利を侵害するものだ。

ジュネーブ第4条第47条(権利の不可侵)は、「占領地域にある被保護者は、いかなる場合にも、またいかなる方法においても、占領の結果その地域の制度もしくは政治にもたらされる変更、占領地域の当局と占領国との間に締結される協定または占領国による占領地域の全部もしくは一部の併合によってこの条約の利益を奪われることはない」と規定する。

ロシア連邦議会(上院)のヴァレンティナ・マトヴィエンコ議長は、10月4日に領土の正式な編入を審議する見通しを示している。

急遽実施された5日間の「住民投票」では、投票所での投票は最終日の9月27日だけで、それ以外は、主催者側が一軒一軒訪問して「投票用紙」を集めたものだ。報道やソーシャルメディアによれば、自宅や投票所での「投票」には重武装のロシア兵らが立ち会ったという。

アムネスティ・インターナショナルは、ロシアとその占領軍に忠実でない者、あるいはそう疑われた住民に対する占領当局の残忍な報復の報告を受けている。これらの報復には、拉致、違法な自由のはく奪、拷問、殺害が含まれる。

アムネスティ国際ニュース
2022年9月23日、9月28日

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