湾岸諸国:スポーツ大会開催の陰で続く市民弾圧

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2022年10月21日
[国際事務局発表ニュース]
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湾岸諸国で複数の国際スポーツ大会が予定されているが、こうしたイベントを人権侵害の隠れ蓑にさせてはならない。

来月11月に、カタールでサッカーのワールドカップが、アラブ首長国連邦(UAE)では自動車レースのフォーミュラワン・グランプリが開催される。またサウジアラビアは、2029年のアジア冬季競技大会開催地に選ばれたばかりだ。

湾岸諸国のうちの少なくとも4カ国、サウジアラビア、カタール、バーレーン、UAEでは、わかっているだけで75人が表現、結社、集会の自由の権利を行使して逮捕され、投獄されている。サウジアラビア、UAE、バーレーンは、人権を尊重する国という印象を植え付けようと巨額の投資をする一方で、政府に批判的な意見の弾圧を繰り返している。

スポーツファンは一度立ち止まり、基本的権利を行使しただけで投獄されている人たちに思いをはせ、獄中で喘ぐ人たちの釈放を求めてほしい。

湾岸協力会議に参加する国々では、集会が厳しく制限され、ツイッターに意見を投稿しただけで女性が長期間投獄され、NGOは活動制限や禁止の措置を受ける。当局は投獄や厳しい検閲で反対意見を封殺している。

湾岸各国は、人権を行使して投獄されているすべての人たちを即刻釈放し、市民の自由な発言や移動を認めるべきだ。

アムネスティは、湾岸諸国での人権状況を調べた報告書「沈黙は金:湾岸諸国における活動家への迫害」の中で、弾圧と人権侵害が際立つ9件の事例を取り上げ、75人の釈放を求めている。

リーズ大学の博士課程で学んでいたサルマ・アル=シェハブさんは今年半ば、ツイッターでの発言で実刑6年を言い渡されたが、控訴審で刑期が34年になり、釈放後34年間の渡航禁止も言い渡された。他の人たちも同様の扱いを受けている。

UAEの人権活動家アフマド・マンスールさんは、SNSに投稿した5年前、国の地位と名声を毀損し指導者らを侮辱したなどとして10年の刑を言い渡され、今も独房に入ったままだ。

カタールでは、アル・ムラ族の弁護士、ハッザさんとラシッドさん兄弟が、無許可の集会を開き、首長が承認した選挙法が部族に差別的だと主張して終身刑を宣告された。

バーレーンでは、人権擁護活動家のアブドルハディ・アル=カワジャさんが11年前、抗議デモに参加して投獄され、今も獄中生活が続いている。

アムネスティ国際ニュース
2022年10月12日

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