ジェノサイドや戦争犯罪の犠牲者への正義に向けた条約成立

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2023年6月 8日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:国際人権法

スロベニアの首都リュブリャナで開催された国際会議で、ジェノサイド(集団虐殺)、人道に対する罪、戦争犯罪、その他の国際犯罪の捜査・訴追における国家間協力に関わる条約が採択された。

国際法の下で犯罪被害者に対する正義を実現する上で歴史的な一歩だ。世界で残虐行為が多発する中、この条約は、救済を受けられないまま放置されている被害者に正義への道を開くことになる。

新たに誕生したリュブリャナ=ハーグ条約は、国際法に基づく犯罪捜査において、法的協力および引渡しに関する各国の義務を定めている。リュブリャナの会議には、70以上の国、国際機関、市民団体の代表団が参加し、2週間の協議を経て5月26日、全会一致で同条約が採択された。

条約は、国際的な犯罪に国家間で協力して対応する際の各国の義務を明確にすることで、国際法や司法の抜け穴部分を補う役割を果たそうというものだ。同時に、国際犯罪と戦う上での「道具箱」を各国に提供し、各国内の司法の役割を補強する役割も担う。

新条約の下、犯罪被害者の諸権利などに関する規定が拡大され、被告人を公正に処遇する義務の重要性が確認された。これらの犯罪の時効がおおむね違法となった。ジェンダーに関する文言も改善された。特に重要なことだが、国際法上の犯罪容疑者の訴追や送還が国家の基本的な義務であることが明記された上、適用範囲が拡大され、国内の武力紛争でも特定の犯罪に適用されるようになった。

最終段階で本来は普遍的義務である自国内にいる容疑者の捜査・訴追について、一部の国がその裁量を確保したのは、例外的措置だとしても重大な懸念となっている。とはいえ、ほとんどの参加国は、加害者にとっての法の抜け穴を極力なくす意思を固めているため、例外的措置は限定的になったことは間違いない。

条約の核となる原則は守られ、加害者の不処罰は大幅に減少するはずであり、概して法的な面での国際協力を強化する歴史的機会は実を結んだと言える。

各国は、速やかに条約に署名し、留保なしで批准することが求められる。

アムネスティ国際ニュース
2023年5月26日

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