気候危機対応 脱化石燃料が急務

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2023年8月 9日
[国際事務局発表ニュース]
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トピック:気候変動と人権

最近、熱波、山火事、洪水など自然災害に見舞われているイタリア、ギリシャ、ポルトガル、マルタ、スロベニアの南欧5カ国は8月3日、世界に気候危機への早急の対応を強く要請した。

これらの国々は、7月にかつてない暑さを記録するなど深刻化する気候危機に直ちに取り組む必要性を訴えたが、その主張は正しい。気候危機は人権の危機であり、とりわけ生命、健康、住居、仕事、健康的な環境の権利が損なわれる。

世界各国の首脳は今こそ、気候変動について他人事のように語るのをやめるべきだ。「何らかの行動が取られなければならない」ではなく、自らが行動を起こす時だ。各国首脳は、化石燃料の段階的な廃止加速への支持を明確に打ち出すべきだ。11月30日からドバイで国連気候変動会議(COP28)が開催されるだけに、この支持は大きな意味を持つ。

気候危機の解決策として、化石燃料業界は炭素の回収・貯蔵・廃棄などという、いつ実現するかわからず、また実現してもその効果が限定的な対策を支持している。この対策なら化石燃料資源をほぼ野放図に開発し続けることができるからだが、真の解決策にはならない。

化石燃料産業が人類とその生態系に与える影響に真正面から取り組むとすれば、化石燃料の段階的廃止と化石燃料資源の新規開発の一時停止が不可欠だ。まだ行動するには遅すぎるということはないが、先送りすれば負の影響は拡大するばかりだ。

これまでに発生した被害については、今年度末までに「損失と被害」支援基金の効率的な運用と資金調達などにより補償されなければならない。また富裕国には、低所得国が気候変動対策への支援を大幅に拡大することが求められている。今まで気候変動とはほぼ無縁の国々が、多大な犠牲を強いられているからだ。

もし何も対策が取られなかったなら、地中海沿岸地域は地球温暖化の影響を最も受ける地域の一つになるだろう。国連によると、この地域は温暖化が世界平均より20パーセント早く進行しているという。地中海沿岸地域の人口は5億人を超える。

欧州の人々の人気の行楽地でもある5カ国はここ数週間、異常気象でトップニュースになっている。5カ国に中東・北アフリカ地域の一部を含めたより広い地域でも酷暑に見舞われているが、対応はさらに遅れている。アルジェリアでは、森林火災で30人以上が亡くなった。

森林火災も異常気象が関係している。中国のある地域では記録的な気温と降水量になり、米国南西部では長期間の熱波にさらされ、冬季の南半球ではところによって気温が異常に高くなっている。

アムネスティ国際ニュース
2023年8月3日

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