アフリカ:LGBTIへの憎悪をあおる差別的な法

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2024年1月24日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:性的指向と性自認

昨年、アムネスティがアフリカの12カ国を調査した結果、いずれの国でも法律がLGBTI(レスビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の人びとを差別する道具として利用されていることがわかった。

法律がLGBTIの人びとの迫害や排除に利用されるという言語道断の事例もあり、法律が抑圧の道具として用いられている傾向を浮き彫りにしている。

アフリカ全土でLGBTIの人びとが、権利の後退と闘い、存在を攻撃され、自分たちの法的・社会的権利を阻む厚い壁に直面している。自分らしく振る舞うことが犯罪扱いされ、恣意的な逮捕や投獄に直面する事態が日常的に起きている。死刑の恐怖にさらされる場合まである。法的手段を悪用した同性愛者嫌悪の攻撃が激化しているとしか言いようがない事態に直面している。

弾圧に利用される法律

アフリカ連合および国際的な人権基準と相容れないことが明らかにもかかわらず、アフリカの31カ国では、いまだに同意の上での同性間の性行為が犯罪とされている。

同性間の性行為を犯罪視する法律をさらに強化する国もある。すでに同性間の性行為を違法とするウガンダでは2023年、さらに厳しい反同性愛法が可決され、状況は悪化するばかりだ。

アフリカ大陸全土で、同様の法律が立て続けに成立しかねない状況にある。

ガーナでは、LGBTIの人びとが差別とさまざまな人権侵害に耐え忍ぶ事態が続いている。議会でアフリカでも特に厳しい反LGBTI権利法案が議論されており、成立すればLGBTIの人びとの基本的権利と自由が著しく脅かされる。

マラウイではLGBTIの人びとが、差別的な法律と日常的な人権侵害が生み出した恐怖と抑圧の中、敵対的な環境に置かれている。同性愛を犯罪とする刑法条項は、公約に反して廃止されず、LGBTIの人びとは日常的に嫌がらせと差別にさらされている。

ザンビアでは、同性愛嫌悪の事例が際立って増えている。LGBTIの人びとに厳しい環境を作り出している法律、文化、政治の動きなどが相互に作用し、事態の悪化を招いているようだ。

ケニアでは2023年、家族保護法案が議会に提出された。この法案には、集会、プライバシー、性と生殖の医療情報・サービスの利用などの基本的な権利を制限しかねない規定が盛り込まれており、懸念されている。同法案は、同性間の性行為や同性婚を違法とするため、成立すれば同国の人びとの人権に深刻な影響を与えるおそれがある。

公開要請

アムネスティはアフリカ諸国に、すべての人びとの人権を差別なく平等に認め、保護することを求める。また、同意の上での同性間の性行為を犯罪とする法律を廃止する、あるいは犯罪化しようとするのをやめる必要がある。このような法律は、国内外の人権基準や人間の尊厳と平等の原則とは相いれない。

アフリカのLGBTIの人びとが直面するこれらの課題は、法律の枠を超え、社会の意識や心をめぐる闘いでもある。しかし、法の乱用は間違いなくLGBTIの人びとをさらに弱い立場に追い込む。地域と国際的な協調的介入が必要になることは明らかだ。

アフリカ各国は、社会から取り残された人びとと団結し、彼らの権利を擁護し、性的指向や性自認に関係なく、正義と平等が優先される世界を目指して行動を起こすことだ。

アムネスティ国際ニュース
2024年1月9日

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