国境で使用される新技術とAI 不平等と人権侵害を拡大

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2024年6月 4日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:難民と移民

アムネスティは最新の報告書の中で、国境での人権侵害の増加傾向に技術が深く関わっているため、技術利用による人権侵害が起きないことが確認できるまで、各国にその利用をやめるよう強く求めている。報告書は、世界各国の移民制度で新技術が国と企業に利用される中で、プライバシー、非差別、平等、庇護など、移動する人びとの権利が侵害される可能性が高まっていることを明らかにしている。

人権の保護が、私的利益の犠牲になってはならない。国家は民間企業に対する義務はないが、国家、非国家主体問わず、移動する人びとの人権を尊重させる義務はある。

技術は、国境や国境を超えて、人種的、経済的、社会的不平等も悪化させる。移住労働者や不安定な市民権を持つ人びとは、しばしば庇護を求める人びとや難民と同様、デジタル技術を利用した偵察、監視、搾取の対象となる。また、移住労働者がこれらの技術の影響を受けやすいのは、危害から逃れたり救済を求めたりすることができないためだ。

移動する人びとの対応に利用されるデジタル技術の多くは、民間企業が開発・製造・販売・設置する。これらの企業のビジネスモデルの根底には、しばしば利潤目的でのデータの抽出と蓄積がある。

これらのテクノロジーにはもともとプライバシーに立ち入る特性があるため、国境を越えて庇護を求める人びとの難民申請や福祉の権利を行使する能力に深刻な影響を及ぼす。

国境やその周辺で使われる軍用の生体認証センサーや監視用ドローンなどのデータ集約型技術により、国境を越えて身の危険を逃れる避難民が、さらに搾取や排除の被害を受ける可能性がある。

各国は、害を及ぼす技術の無秩序な開発と利用を規制する義務、および難民と移民の権利保護を定めた国際人権法上の義務を果たさなければならない。これらの技術を開発する企業は、技術の使用面での安全対策を講じ、人権デューデリジェンスとデータ影響評価を事前に実施する必要がある。権利侵害が発生してからでは遅すぎる。

アムネスティは今月初め、米国での庇護を希望する人びとへの権利侵害を助長する税関・国境取締局(CBP)のモバイルアプリの使用に関する報告書を発表した。アムネスティは世界の国と企業に、国境管理上の人種差別に対処し、人びとを危険にさらすプライバシーを侵害する技術の開発を停止するよう求めている。

アムネスティ国際ニュース
2024年5月21日

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