- 2024年7月 2日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ナミビア
- トピック:性的指向と性自認
ナミビアの高等裁判所は、同意の上での同性間の性行為を犯罪とする植民地時代に制定された「ソドミー法」と「不自然な犯罪法」を無効とする判決を言い渡した。これらの法律を撤廃し、同意に基づく同性間の性行為を非犯罪化する高等裁判所の判断は、愛と平等と人権の勝利である。
今回の判断は、医療や福祉、教育などの社会サービスを受ける上で差別をなくし、すべての人びとが制裁をおそれることなくパートナーを選び、尊厳ある生活を送る上で、大きな一歩と言える。
この判決でナミビアの法律は憲法、アフリカ憲章、国際人権法に準拠することにもなる。これらの法はすべて、あらゆる形態の差別を禁止している。また合意による同性間の性行為を犯罪とみなさない多くの南部アフリカ諸国の仲間入りすることにもなる。
とはいえナミビアでは昨年、LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の権利に関する判決が下された後、差別的な法律の制定と暴力が続いている。ここ数週間では、LGBTIの人びとの権利を脅かす憂慮すべき発言が確認されている。
当局は、LGBTIの人びとの安全を確保し、LGBTIの権利の侵害には厳しく対応しなければならない。
背景情報
2022年6月、LGBTI活動家フリーデル・ダウサブさんは、同意に基づく同性間の性行為を犯罪とみなす法律の合憲性を問い、同法に基づく過去の有罪判決をすべて無効にするよう裁判所に申し立てた。
2023年5月、最高裁は同姓カップルが国外で結婚した場合、その結婚を認めるという判決を下した。しかしその後、主に信仰や宗教の指導者による激しいLGBTI批判が起き、抗議を受けて議会は翌6月、LGBTIの人びとの結婚平等の権利を制限する2つの法案を可決した。いずれの法案も結婚を男女間の結合と定義し、トランスジェンダーの人びとを差別し、同性婚の支援や促進、祝福を犯罪とし、違反すれば禁錮6年以下の刑と高額の罰金が科される。
さらに、支援活動をする人たちの話によると、警察はLGBTIの人びとに宗教的集会のような集いを認めていないという。アムネスティも、LGBTIの人びとに対する過激なサイバー攻撃や多数のネット上での嫌がらせを確認している。また、今年11月の選挙を前に、議員が頻繁にLGBTIの人びとを攻撃し、スケープゴートにしているという証言も得ている。
アムネスティ国際ニュース
2024年6月21日