SHEINのロンドン証券取引所上場 人権に悪影響のおそれ

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2024年7月18日
[国際事務局発表ニュース]
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トピック:企業の社会的責任

新商品の市場投入の速さと超低価格からウルトラファストファッションと呼ばれるブランドSHEIN(シーイン)が、ロンドン証券取引所への上場を計画している。労働基準や人権に問題があり、持続可能ではないファストファッションのビジネスモデルを実践する同社が、株式を発行して数億ポンドの資金を調達する可能性がある。これは、極めて憂慮すべき事態である。

SHEINの上場が認められれば、他社も追随する。国際的に認められた人権基準の観点から透明性と拘束力のある労働者の安全対策がサプライチェーン全体で導入され、人権侵害がすべて是呈されるまで、英国当局とロンドン証券取引所は、同社の上場を認めるべきではない。

上場を認めることは、SHEINの現行の経営手法を認めることであり、ロンドン証券市場にとって恥ずべきことになる。上場手続きに関わる金融機関や同社の上場で利益を得る投資家にとっても同じだ。SHEINの経営手法は、富裕層が貧困層を搾取する典型的な例であり、労働者とその権利、企業製品、環境は使い捨てとみなしていいという見方を正当化することになる。これは私たち全員を貶めることでもある。

英国政府は、企業が人権基準をいたずらに下げることを認めないことが重要だ。政府は、製造工程やサプライチェーンでの重大な環境破壊や人権侵害を防ぐよう企業に求め、企業に権利を侵害された労働者が、権利侵害の場所を問わず、英国の裁判所で正義を求められるようにすべきだ。

SHEINは、中国の零細製造業者に衣料品を作らせているが、賃金や労働条件には透明性も説明責任もほとんどなく、集会の権利や組合結成の権利も認めていない。ウルトラファストファッションの下請け業者は、衣料品の製造コストを抑えるために労働者の賃金を極限まで抑えている。

SHEINは下請け業者の賃金や労働条件の評価に独立監査人を利用してを調査していると言うが、業者の詳細は一切公表しておらず、不当労働行為が発覚した場合の労働者の救済方法も明らかにしていない。また、SHEINのサプライチェーンで下請け業者が使用する原材料の調達とその経路についても、開示は不十分で透明性に欠ける。

SHEINの衣料品の多くは化石燃料由来の合成繊維で作られており、環境に有害で持続不可能である。こうしたファストファッションの多くはすぐに捨てられて埋め立て地行きとなり、しばしばグローバルサウス(アジア、アフリカ、中南米などの新興国・途上国)の地域社会の環境を汚染することになる。

背景情報

中国で設立され、現在はシンガポールに本社を置くSHEINは、上場に先立ちロンドン証券所に申請書類を提出したとされている。

下請け業者の労働者が衣料品1点あたり4セント(約6円)以下の低賃金であったり、強制労働で収穫された綿を使用したりするなどで、SHEINは非難を浴び続けてきた。

最近、アムネスティはSHEIN幹部と会ったが、その後幹部は一連の人権問題について書面で回答した。回答には、監査の詳細やリサイクル計画、供給業者・労働者の能力向上プログラムなどが記されていた。

アムネスティ国際ニュース
2024年6月25日

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