- 2024年7月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:
- トピック:地域紛争
国際司法裁判所は7月19日、被占領パレスチナ地域におけるイスラエルの政策と慣行に関する勧告的意見を発表し、イスラエルによるパレスチナの占領と併合は国際法違反であり、パレスチナ人に対する差別的法律と政策は人種隔離とアパルトヘイトの禁止に違反していると断じた。
同裁判所の見解は、イスラエルの違法な占領がもたらした残酷な行為と組織的な人権侵害に何十年も耐え忍んできたパレスチナ人の権利の正当性を証明している。
占領は、イスラエルがパレスチナ人を支配し抑圧するためのアパルトヘイト体制の重要な柱であり、パレスチナ人に多大な苦しみを強いてきた。入植地の拡大を図るイスラエルによる家屋の取り壊しや土地収用から、家族離散、移動制限、土地や水、天然資源の利用制限に至るまで、パレスチナ人は日常生活のあらゆる権利を奪われてきた。
イスラエルはこの9カ月間、国際人道法をまったく顧みることなく、ガザ地区での激しい攻撃でかつてない多数の死者を出してきた。また、ヨルダン川西岸での土地強奪を加速させ、違法に併合した東エルサレムでの入植地建設の許可を次々と出し、違法な占領に拍車をかけてきた。さらにイスラエルは、国際司法裁判所が命じたジェノサイド回避のための暫定措置にも従わなかった。
そんな状況の中での今回の国際司法裁判所の勧告的意見だった。イスラエルがこれ以上国際法を踏みにじるのを許してはならない。
国際社会、特にイスラエルの同盟国は、イスラエルが違法な占領を終わらせるよう明確な行動を取らなければならない。まずは、入植地拡大の即時停止、東エルサレムを含むパレスチナの土地併合の放棄、アパルトヘイト体制の解体から始める必要がある。イスラエルと被占領パレスチナ地域で繰り返される人権侵害に終止符を打つには、イスラエルの占領地からの撤退が不可欠だ。
さらにイスラエルが、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区から入植者を引き上げさせることも欠かせない。また、パレスチナ人の生活を支配する体制の全面的解体と被占領地の国境管理や天然資源、領空・領海などの支配権の返還も必須だ。入植者が引き上げ、パレスチナ人が権利を取り戻せば、パレスチナ人がガザとヨルダン川西岸を自由に行き来できるようになる。
背景情報
国際司法裁判所は、パレスチナを含む50を超える国と3つの国際機関が参加した公聴会を含む1年半の手続きを経て、被占領パレスチナ地域でのイスラエルの政策と慣行から生じる法的影響とイスラエルの行為が他国に及ぼす影響に関する勧告的意見を発表した。その中で同裁判所は、イスラエルによるパレスチナの土地の占領は明白な国際法違反だと指摘した。
2004年7月の勧告的意見では、国際司法裁判所は被占領パレスチナ地域内の分離壁の建設は国際法違反だとして建設の停止を求めた。アムネスティも、壁の建設は国際法違反であり深刻な人権侵害を引き起こしていると主張していた。
2004年の勧告的意見に対し国際社会が何の対応も取らなかったことで、イスラエルは国際法軽視の姿勢を強め、同国の不処罰がさらに助長される結果になった。
アムネスティ国際ニュース
2024年7月19日