- 2026年3月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:
- トピック:地域紛争

ドナルド・トランプ米大統領が、敵対行為の解決に関する協議の結果が出るまで、イランの発電所およびエネルギーインフラへの攻撃を5日間延期すると述べた。
トランプ大統領は、何百万人もの民間人に壊滅的な被害をもたらすような行為をほのめかす、極めて無責任な脅しを撤回しなければならない。こうした攻撃を行わないという判断は、政治的な駆け引きの結果ではなく、民間人への被害を回避するという国際人道法上の米国の義務に基づくべきだ。こうした攻撃を実行すれば、壊滅的な長期的影響をもたらし、戦時下における民間人を保護するために設けられた国際法上の枠組みを著しく損なうことになる。
イランの当局もまた、米国やイスラエルが使用する発電所、および湾岸協力理事会(GCC)加盟国の経済・産業・その他のエネルギーインフラを攻撃して報復するという脅迫を撤回しなければならない。また、GCC加盟国のエネルギーインフラや海水淡水化施設に対するあらゆる違法な攻撃を中止すべきだ。海水淡水化プラントは、乾燥地域に住む何百万人もの民間人への飲料水供給を確保するために不可欠だ。さらに、ホルムズ海峡における商船への違法な攻撃もやめなければならない。インターネットへの接続も完全に回復させる必要がある。
発電所などの民間インフラを意図的に攻撃することは、原則として禁止されている。たとえ限定的なケースとして軍事目標と認められる場合でも、民間人に過度な被害をもたらすおそれがあれば攻撃してはならない。こうした発電所は数千万人の民間人の基本的ニーズと生活を支えるために不可欠であることを踏まえると、攻撃は過度な被害を与えることになり、国際人道法上、違法となるだけでなく、戦争犯罪に該当する可能性がある。
こうした攻撃をほのめかすことで、米国は事実上、国全体を暗闇に陥れ、生命、水、食料、医療、適切な生活水準といった人権を奪い、深刻な苦痛、苦難を人びとに強いる意思があることを示している。
発電所が機能停止に陥れば、恐ろしい結果が瞬時に連鎖的に生じる。送水ポンプ場の稼働が停止し、清潔な水が不足し、予防可能な病気がまん延するだろう。病院は電力と燃料を失い、手術の中止や生命維持装置の停止に追い込まれる。食料生産や流通網が崩壊し、飢餓が深刻化し、広範囲にわたる食料不足を引き起こす。多くの企業も操業停止となり、大量失業など甚大な経済的打撃をもたらす。
イラン当局による長期にわたる意図的なインターネット遮断によって、すでに市民が孤立させられている中、民間の電力供給能力に壊滅的な損害を与えることは、極めて危険な状況にある人びとと外部世界とを結ぶ最後のつながりを断ち切ることになる。
トランプ大統領は、こうした危険な脅しを直ちに撤回し、国際人道法の順守を米国として確約しなければならない。
背景情報
3月21日、トランプ米大統領は、イラン・イスラム共和国に対し、ホルムズ海峡を再開するよう48時間の最後通告を出し、イラン当局が応じない場合、米国は「最大の発電所から順に」イランの発電所を「壊滅させる」と警告した。これに対しイランは、トランプ大統領が脅迫を実行に移した場合、「占領政権(米国)の発電所、および米軍基地に電力を供給する近隣諸国の発電所、さらに米国人が出資する経済・産業・エネルギーインフラ」を標的として報復すると表明した。
3月23日、トランプ大統領はソーシャルメディアで、中東全域での敵対関係の緩和を目的にイラン当局者と協議が行われたと発言。さらに、イランの電力施設に対する軍事攻撃を5日間延期するよう命じたと付け加えた。
イランによる攻撃は、すでにGCC諸国の民間重要インフラに被害をもたらしている。3月8日、バーレーン内務省は、イランのドローン攻撃で海水淡水化プラントが破損したと発表した。ただ、水供給には影響はなかったようだ。
3月19日、国際海事機関(IMO)理事会は、イランによる脅しや攻撃、ホルムズ海峡の封鎖を非難した。3月24日時点で、IMOホルムズ海峡・中東で商船に影響があった18件の事案を確認、損害だけでなく船員の死傷者も出ていた。
3月6日時点で、イラン当局は、イスラエルと米国の攻撃により1,332人が死亡したと発表した。3月15日、同国保健省は死者の中には女性223人と子供202人が含まれると発表。GCC諸国全体で少なくとも21人が死亡している(クウェート6人、バーレーン2人、サウジアラビア2人、アラブ首長国連邦8人、オマーン3人)。メディアの報道によれば、イランによる攻撃により、これまでにイスラエル国内で15人、占領下のヨルダン川西岸地区では3人が死亡した。
アムネスティ国際ニュース
2026年3月24日



