- 2026年6月 9日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:
- トピック:表現の自由

湾岸諸国の当局は、米国・イスラエルとイランの戦争やイランによる湾岸地域への攻撃に関連するオンラインでの意見表明や投稿の拡散などを理由に、戦争に関連した表現への大規模な弾圧を行い、5月末の時点で1,000人以上を逮捕している。クウェートとバーレーンでは、表現活動への報復や抑止を目的として国籍がはく奪された事例もある。
戦争開始後、クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、サウジアラビア、オマーンの湾岸協力会議(GCC)加盟国の当局は、国家安全保障上の懸念を理由に、戦争に関する「噂」や「虚偽の情報」、または「出所不明の情報」をオンラインで共有・拡散しないよう一律に警告を出した。その直後、複数の湾岸諸国で大量逮捕が相次いで発表されている。
湾岸諸国が誤情報に対処し、国家安全保障を確保するための措置を講じたり、武力紛争下において一定の権利の適用を制限することはありうる。しかし、表現の自由に対するいかなる制限も、厳格な国際人権基準に沿ったものでなければならない。こうした制限は、法律で明確かつ具体的に定められ、正当な目的のために行われ、かつその目的に照らして必要最低限にとどめる必要がある。一律の制限や情報共有を広く犯罪とする措置は、こうした要件を満たしていない。
湾岸諸国は安全で安定した魅力ある拠点というイメージを維持しようと、情報の統制に向けて従来どおりの強権的な手法を用い、サイバー犯罪対策、テロ対策、国家安全保障に関連する法律の、あいまいで過度に広範な規定を恣意的に利用してきた。これは国際法で許容される範囲を大きく逸脱している。
アムネスティは、ジャーナリスト、地域活動家、GCC加盟国の市民や居住者、および拘束された人びとの家族など16人に話を聞いた。その大半は報復を恐れて匿名を希望した。また、GCC当局による一律の警告や数百件に及ぶ表現活動に関連する逮捕の発表といった公式声明を精査、地元メディアや外国大使館が報じたり地元の人権団体が記録した事例についても検証を行っている。
各国での弾圧
クウェート、バーレーン、UAE、カタールの当局は、ミサイル迎撃の様子を記録した映像の撮影・共有、または飛来物による被害の映像を投稿したとして、数百人を逮捕したことを公式に発表していた。
また、敵対国やその軍指導部を「称賛」したとして逮捕された事例も複数確認されている。これはイランへの共感の表明や、イラン市民との連帯を表明するオンライン投稿の拡散、あるいは故アリ・ハメネイ最高指導者兼最高司令官を悼む行為を指すものとみられる。
さらに、一部のGCC加盟国の当局は、実際には発生していない出来事をあたかも起きたかのように伝える映像やAI生成の動画・画像などを含む、「誤解を招く情報」や「虚偽のニュース、噂、挑発的なプロパガンダ」を広めた疑いで人びとを捜査・起訴している。
クウェートとバーレーンの刑事裁判所は、戦争関連の情報を投稿・共有したとして、急遽開かれた裁判で、数十人に対し3年から10年の禁錮刑を言い渡した。
オマーン当局は他のGCC諸国と同様に、3月3日、「噂や未確認情報」を公表した者は法律に基づき法的責任を問われると警告した。その後、表現活動に関連した逮捕の発表はない。
戦争が始まって以来、湾岸諸国が公表する情報は極めて限定的であり、各国はイランの攻撃がGCC諸国の日常生活に与える影響に関して情報統制を図っている。このような情報統制は、とりわけ戦時下では、混乱を助長し、住民が必要な情報を得ることを困難にする。また、イランの攻撃による被害を記録することも、より困難になるだろう。
アムネスティ国際ニュース
2026年6月1日



