米国の「第三国移送」 アフリカ諸国は加担を拒否すべき

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2026年8月12日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:難民と移民

6月12日、トルコ人、アフガニスタン人、イラン人ら17人が、米国から強制的に国外退去させられ、中央アフリカ共和国の首都バンギへ空路で送られた。彼らは同国とは何のつながりもなく、現地語も話せない。こうした第三国への追放を監視する団体「Third Country Deportation Watch」によると、このうち1人を除く全員が、母国に強制送還されないよう米国で法的保護を受けていた。だが、バンギ到着後は、生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国への難民らの送還を禁じる国際法上の「ノン・ルフールマン原則」に反して、出身国へ送還される危険がある。

2025年2月以降、米国は、自国の領土から排除したい人びとを、出身国でもなく、何ら関係もない国へ移送する政策を大幅に強化している。この政策自体は目新しいものではないが、トランプ政権は、より差別的で、基本的人権を侵害するような方法で行っている。

第2次トランプ政権はこれまでに、第三国移送に関する新たな協定を30カ国以上と締結している。サハラ以南のアフリカでは、中央アフリカ共和国以外にも、ブルンジ、カメルーン、カーボベルデ、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、エスワティニ、ガーナ、リベリア、ルワンダ、シエラレオネ、南スーダン、ウガンダの計13カ国との協定締結が確認されている。こうした第三国との協定により、米国政府は、自国領土から排除したい人物を国外退去させることが可能となる。これには、移民手続きの最中である人や、出身国で拷問を受けるおそれがあるため送還されないよう法的保護を受けている人さえも含まれる。

人種差別的な反移民政策の現れ

この1年間で、100人以上が米国移民関税執行局(ICE)の職員によって飛行機に乗せられ、アフリカの第三国へ移送された。この非人道的かつ違法な政策は、移送の前に本人に保障されるべき法的手続きをないがしろにするだけでなく、移送先の国で人びとを人権侵害にさらす。

人権を踏みにじるこうした強制移送は、トランプ政権による残酷で人種差別的な反移民政策の集大成であり、保護を必要とする人びとや移民、さらには人種を理由に差別され偏見捜査で逮捕されかねない人びとの間に、恐怖をもたらしている。ICE職員による取り締まりの過程で10人以上が銃で撃たれて命を落とし、子どもを含む数千人の移民や庇護希望者が、適切な衛生設備や医療が極めて不十分な劣悪な環境下で収容されている。2025年1月以降、収容施設内で50人以上が死亡した。

強制退去命令に異議を申し立てることも、極めて困難だ。中には、裁判所による審理がまだ進行中の段階で、国外退去になった人さえいる。

アフリカ諸国へ強制移送された人びとは、刑務所、ホテル、空港などで自由を奪われ拘束されるなど、受入国でさらなる人権侵害にさらされている。ガーナの軍の駐屯地では、2025年9月に11人が約2週間にわたり劣悪な環境下に置かれた後、トーゴへ強制移送された。

アムネスティが記録した多くの事例では、アフリカ諸国に移送された人びとは、政府から独立した法的支援を受けることができなかった。エスワティニでは、米国から最初に移送された人のうち4人が、現地の弁護士と直接面会することを認められず、9カ月後に最高裁判所の命令で面会がようやく実現した。南スーダンでは、人びとが約1年にわたり、所在も明らかにされない場所で不当に拘束され、弁護士と直接面会することもできない状態に置かれている。カメルーンでは、移送された人びとの弁護を引き受けようとした弁護士が正当な理由なく逮捕された。シエラレオネなど一部の事例では、移送された人びとは難民申請を行うことができない。また、同性愛が犯罪とされている国では、性的指向を理由に危険にさらされる可能性もある。各事案の取り扱いや、出身国での危険な状況への送還につながる決定に至る過程において、透明性と適正手続きが欠如している。

秘密裏の合意

第三国との協定は、水面下で締結され、ほとんどの場合、すべてが公にされることはない。この秘密主義が人権侵害を引き起こしている。ガーナやシエラレオネなどでは、協定は国会で審議すらされていない。2月13日に公表された報告書には米国上院議員の証言として、移送引き受けの見返りとして5つの第三国(うち3カ国はアフリカにある)に3,200万米ドル(約50億円)以上が直接支払われた、とある。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じた外交筋の話では、これらの協定の締結は、米国とアフリカ諸国の貿易関係をめぐる協議の一環だったという。多くの協定は、力関係が大きく偏った政治交渉の中で結ばれている。例えば、リベリア、ルワンダ、ウガンダは第三国移送協定に署名した後に、医療分野への米国の投資を確保している。

米国の移民政策はサハラ以南のアフリカ諸国の人びとを差別している。その一方で、米国が同じ地域の国々と第三国移送協定を結んでいることは、きわめて皮肉で恥ずべきことだ。2025年12月、入国禁止措置の対象となった計39カ国のうち、サハラ以南のアフリカ12カ国の国民には全面的な入国禁止措置が、さらに同地域の14カ国の国民には部分的な入国禁止措置が課された。こうした制限や障壁は、2026年FIFA男子ワールドカップでも浮き彫りになった。

アフリカ人権・諸民族の権利委員会は2025年11月、深刻な人権侵害の危険性がある場合には、アフリカ諸国が移民に関する協力関係を結んだり維持したりしないよう求める決議を採択した。

アフリカ諸国の首脳は、差別的で人権に反する米国の違法な「第三国移送」に反対の声を上げるべきだ。また、自国に移送されてきた人びとの権利はもちろん、自国内にいる難民や庇護希望者、移民の権利も保障しなければならない。財政的な利益であれ、協定への署名を迫る圧力であれ、それを理由にアフリカ諸国が米国の「第三国移送」政策に加担することは正当化できない。

アムネスティ国際ニュース
2026年8月5日

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