「ライティングマラソン」は、12月10日の「世界人権デー」の周辺に、世界中で一斉に手紙書きを行う、アムネスティ最大の人権イベントです。マラソンといっても、実際に走るわけではなく、手紙書き(ライティング)を長時間にわたって行うことから、この名前が付けられました。

今、世界中でたくさんの人の自由が脅かされています。ある国では、人権を守ろうと声を上げただけで投獄され、拷問などの暴力を受け、最悪の場合は殺害されてしまう人もいます。今年の「ライティングマラソン」では10のケースを選び、当該政府や当局に対し、人権侵害の改善を求める手紙を書きます。

また、人権侵害の被害者には「あなたは一人ではないよ、世界中が応援しているよ」と、一緒に闘っていることを伝える応援メッセージを送ります。監獄の暗闇の中で不安におびえている人たちにとって、励ましや応援のメッセージは、希望の光になっています。

2022年はほとんどの国で新型コロナウイルスに関する規制がなくなり、世界中でオフラインイベントが復活。マラソン大会や音楽コンサートなど、さまざまなイベントが開催され、5,320,261通の手紙やハガキ、署名が関連当局や人権侵害に遭っている人たちに届けられました。一人ひとりの力は小さくても、集まった手紙は大きな力となり、取り組んだ、およそ4割のケースで改善がもたらされています。

手紙書きに参加する

一人で書くのは不安、という人は、ぜひ友人や同僚を誘ってみてください。学校や職場近くのカフェなどで一緒に手紙を書くという人も、たくさんいます!また、アムネスティでは会員が中心となり、全国で手紙書きのイベントを行っています。ぜひ、お近くの会場に足をお運びください。

開催会場一覧

2023年に取り組む10のケース

手紙の書き方や宛先などの詳細は、PDFをご覧ください。(印刷する場合、A4サイズで両面印刷して半分に折って使うと節約できます。)

01. エスワティニ:トゥラニ・マセコ エスワティニさん

エスワティニは裕福な絶対君主制に支配され、人口の約60%が貧困線下で暮らしています。国の抑圧的な法律や、平和的な抗議行動を封じる過剰な国家暴力を公然と批判したトゥラニさんは、2023年1月21日、妻の目の前で射殺されました。現在に至るまで、誰も責任を問われていません。

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02. 南アフリカ:タペロ・モハピさんとアバラリ・ ベース・ムジョンドロ(AbM)運動

タペロ・モハピさんは、草の根運動、アバラリ・ベース・ムジョンドロ(AbM)の事務局長として、南アフリカの特に経済的に苦しむ地域の人びとの権利のために闘い続けてきました。そのために、2021年以来、彼は命を狙われて身を隠しています。AbMのメンバーは役人からの脅迫、嫌がらせ、威嚇を受けており、2022年だけでも、3人のAbMメンバーが殺害されています。

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03. 米国:ロッキー・マイヤーズさん

知的障がいを持つ黒人男性ロッキー・マイヤーズさんは、殺人の罪でアラバマ州の死刑囚監房で30年を過ごしてきました。白人陪審員の大多数は彼を有罪とし、終身刑を勧告しましたが、裁判官はロッキーさんに死刑を宣告しました。いつ死刑が執行されてもおかしくない中で、彼の唯一の望みは、アラバマ州知事による恩赦です。

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04. ブラジル:アナ・マリア・サントス・クルスさん

アナ・マリアさんの息子、ペドロ・エンリケさんは人権活動家で、黒人コミュニティに対する警察の暴力に抗議していました。 やがて警察から敵意と脅迫を受けるようになり、2018年12月、ペドロ・エンリケさんは31歳で殺害されました。アナ・マリアさんは息子の死の真実を求め徹底的な捜査と加害者への裁きを当局に要請しています。

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05. オーストラリア:パバイおじさんとポールおじさん

パバイおじさんとポールおじさんの祖先は、何千年もの間、オーストラリアの最北端、トレス海峡の島々で暮らしてきました。今、気候変動のために、先住民として陸・海・空と深く結びついた彼らの生活すべてが、危機に瀕しています。島に住めなくなれば、彼らのこうしたつながりは断ち切られ、故郷を離れることを余儀なくされてしまいます。

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06. ミャンマー:マウンサウィードラさん

少数民族のロヒンギャは数十年間、国主導の激しい差別にさらされてきました。サウィードラさんは今、フェイスブックを運営するメタ社に対して、残虐行為に加担した責任を追及し、コックスバザール難民キャンプでの教育プログラムへの資金の提供と残虐行為への加担に対する賠償金の支払いを求めています。

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07. キルギス:リタ・カラサルトヴァさん

リタさんは人権擁護活動家で市民ガバナンスの専門家です。腐敗して信頼できない法制度で権利を侵害された人たちの救済に人生を捧げてきました。リタさんは淡水貯水池の管理権をウズベキスタンに与える新しい国境協定に反対したために逮捕され、現在は自宅軟禁となり、外出を厳しく禁止されています。

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08. ポーランド:ユスティナ・ヴィドジンスカさん

法的に中絶がヨーロッパで最も制限されているポーランドで、ユスティナさんは自身の中絶の経験から、中絶の汚名に反対する活動を行い、安全な中絶へのアクセスの情報を提供する活動家集団、中絶ドリーム・チームを共同設立しました。 虐待で妊娠した女性に中絶薬を送ったために、2022年11月、「中絶ほう助」罪で告発されました。

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09. チュニジア:チャイマ・イッサさん

サイード大統領が権力を掌握して以来、チュニジアの人権はこれまで以上に危うくなっています。表現の自由は圧力を受け、軍事裁判所は政府を批判する人たちを標的にし、法制度は独立性を欠いています。こうした政治状況について野党関係者や外国の外交官と対話した後、チャイマさんは「陰謀」容疑で逮捕されました。その後、釈放されましたが、裁判は現在進行中で、数十年の刑を受ける恐れがあります。

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10. アラブ首長国連邦:アフメド・マンスールさん

アフメドさんは国内の人権侵害について信頼できる独立した情報を世界の他の地域に提供する数少ない情報提供者の1人でした。彼は政府に異論を唱える人たちの拘束、拷問、不公正な裁判について、定期的に懸念を表明していました。また、司法制度の問題や国際法に違反する国内法の問題についても語っていました。このために治安機関に逮捕され、「UAEとその象徴への侮辱」を含む罪で10年の刑を宣告されました。

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