「ライティングマラソン」は、12月10日の「世界人権デー」の周辺に、世界中で一斉に手紙書きを行う、アムネスティ最大の人権イベントです。マラソンといっても、実際に走るわけではなく、手紙書き(ライティング)を長時間にわたって行うことから、この名前が付けられました。

今、世界中でたくさんの人の自由が脅かされています。ある国では、人権を守ろうと声を上げただけで投獄され、拷問などの暴力を受け、最悪の場合は殺害されてしまう人もいます。今年の「ライティングマラソン」では10のケースを選び、当該政府や当局に対し、人権侵害の改善を求める手紙を書きます。

また、人権侵害の被害者には「あなたは一人ではないよ、世界中が応援しているよ」と、一緒に闘っていることを伝える応援メッセージを送ります。監獄の暗闇の中で不安におびえている人たちにとって、励ましや応援のメッセージは、希望の光になっています。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、2021年も世界120の国と地域で、たくさんの人たちがオフラインやオンラインで行動を起こし、4,657,104通の手紙やハガキ、署名が関連当局や人権侵害に遭っている人たちに届けられました。一人ひとりの力は小さくても、集まった手紙は大きな力となり、取り組んだ、およそ4割のケースで改善がもたらされています。

手紙書きに参加する

一人で書くのは不安、という人は、ぜひ友人や同僚を誘ってみてください。学校や職場近くのカフェなどで一緒に手紙を書くという人も、たくさんいます!また、アムネスティでは会員が中心となり、全国で手紙書きのイベントを行っています。ぜひ、お近くの会場に足をお運びください。

開催会場一覧

2022年に取り組む10のケース

手紙の書き方や宛先などの詳細は、PDFをご覧ください。(印刷する場合、A4サイズで両面印刷して半分に折って使うと節約できます。)

01. バングラデシュ:シャネワッズ・チョードリーさん

シャネワッズさんは、故郷の村バンシュカリに新たに建設される石炭火力発電所が環境を破壊すると考え、若者らに「不正に抵抗し、恐れずに書くことで運動を支援しよう」とフェイスブックで呼びかけた。その翌日、虚偽の情報を投稿したとして発電所を運営する企業に告発され、2021年5月28日、圧政的なデジタル保安法に違反したとして警察に逮捕された。裁判で有罪になれば何年も収監されることに。

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02. カメルーン:ドージェレス・ングエッサンさん

ドージェレスさんは2020年9月、カメルーンの経済状況への懸念から、初めて抗議デモに参加した。治安当局は平和的な抗議デモを追い散らすためにゴム弾や催涙ガス、放水銃を発射。ドージェレスさんは逃げきれずに仲間とともに逮捕され、警察署に連行された。2021年12月7日、反乱、集会、会議、公共デモの罪で起訴され、5年の禁固刑を言い渡された。彼女は家族との再会を切望している。

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03. キューバ:ルイス・マヌエル・オテロ・ アルカンタラさん

独学で絵を学んだアーティストのルイス・マヌエルさんは、国に批判的なアーティストを黙らせる法律第349号に憤慨し、「サン・イシドロ運動」を開始。2021年7月、彼はキューバでここ数十年で最大のデモの一つに参加すると言って、ビデオをオンラインに投稿し逮捕され、2022年6月、非公開の裁判で実刑5年を言い渡された。ルイス・マヌエルさんの体調は悪化しているが、必要な治療を受けることができずにいる。

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04. フランス:ジネブ・レドゥアンさん

2018年12月、ジネブさんは4階の自宅のアパートで、娘と電話をしながら夕食の支度をしていた。下の通りでは、警察官が催涙ガスを使って抗議デモを解散させており、ちょうど窓を閉めようとした時、1人の警察官が発射した催涙弾が彼女の顔面に命中。顔に大怪我を負い病院に運ばれたが、その傷がもとで死亡した。事件から4年経った今も、彼女の悲劇的な死に関して、誰も起訴されたり、懲戒処分を受けたりしていない。 

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05. 香港:鄒幸彤(トニー・チョウ)さん

人権弁護士で活動家のチョウさんは2021年6月4日、1989年の天安門事件で殺害されたデモ参加者を追悼してキャンドルを灯すよう、SNSで呼びかけた。彼女はその日に「無許可の集会の宣伝と広報」の容疑で逮捕された。現在、彼女は22カ月の禁錮刑に服している。しかも、その平和的な行動によって国家の安全が脅かされたとして、さらに投獄される可能性がある。

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06. イラン:ヴァヒド・アフカリさん

2018年9月17日、ヴァヒドさんと弟のナヴィドさんは、不平等と政治的抑圧への抗議デモに平和的に参加したことで逮捕された。その3カ月後には、弟のハビブさんも逮捕された。3人は繰り返し拷問され、犯してもいない犯罪を自白するよう強制された。2020年9月、ナヴィドさんは処刑され、ハビブさんは550日間独房で過ごし、2022年3月に刑務所から釈放された。ヴァヒドさんは2020年9月から独房に閉じ込められ、根拠のないさまざまな罪で不当に有罪判決を受け、数十年の実刑と74回の鞭打ちの刑を言い渡された。

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07. モロッコ/西サハラ:ナセル・ゼフザフィさん

ナセルさんは、医療、教育、雇用機会の不足に悩むリフ地方出身だ。2016年、変化を求める抗議運動が勃発すると、ヒラク・エル・リーフ抗議運動が生まれ、ナセルさんは著名な人物となった。2017年5月29日、彼はモスクでの説教を中断し、イマーム(イスラム教宗教指導者)が当局の口利きをしていると非難したことで逮捕され、2018年6月、実刑20年を言い渡された。刑務所での劣悪で健康状態が悪化しているにもかかわらず、必要な治療が受けられずにいる。

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08. パラグアイ:イレン・ロテラさんとマリアナ・セプルベダさん

自由に生きたいと願うイレンさんとマリアナさんは、トランスジェンダー女性として自分たちの権利を守るために闘い続けている。パラグアイではトランスジェンダーの人たちは、法的に名前を変更したり証明書に自認する性を入れたりすることができないなど、差別的な扱いを受けている。保守的な同国では、トランスジェンダーの人たちが声を上げることは簡単ではない。イレンさんとマリアナさんは、法的に名前を変えるために何年も闘っている。

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09. ロシア:アレクサンドラ・スコチレンコ

サンクトペテルブルクを拠点に活動する人気アーティストのアレクサンドラ(サーシャ)さんは2022年3月31日、ロシアのウクライナ侵攻への抗議として、地元のスーパーマーケットの値札を、侵攻に関する事実を記した小さな紙のラベルに貼り替えた。彼女はこの平和的な抗議行動のために逮捕され、起訴された。拘置所では劣悪な環境に置かれ、適切な食事を与えられずにいる。有罪となれば、最大10年間投獄される可能性も。

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10. ジンバブエ:ジョアナ・マモムベさん、ネツァイ・マロヴァさん、セシリア・チムビリさん

ジョアナさん、ネツァイさん、セシリアさんの3人は2020年5月13日、反政府デモを主導した後に逮捕され、その後拉致された。性的暴行を含む拷問を受けたとされている。2日後に発見された3人は、服がズタズタに引き裂かれ、体中切り傷やあざだらけの状態で、病院に運ばれた。入院中に抗議行動に関わった容疑で起訴された。襲撃者のうち何人かに見覚えがあると話すと、2020年6月に再逮捕され、虚偽の証言をしたとして、再度起訴された。

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