最新情報:
2013年11月21日 (stop情報)
国名:
ベラルーシ
対象者:
イゴール・ポストノフ(男性)
期限:
2013年12月21日
配信日:
2013年11月21日
UA No:
235/2013

国の医療制度に率直な批判を繰り返して精神病院に拘禁されていた精神科医のイゴール・ポストノフさんが、釈放された。

イゴール・ポストノフさんは9月30日、ビラブスク地方精神病院から解放された。今後は、外来患者となる。現在、仕事を再開しているが、「偏執狂的政府批判の傾向がある精神障がい者」という診断は今も有効で、当局批判をやめなければ再び病院送りの可能性がある。

9月12日、ビラブスク地方裁判所は、医療関係者数名と検察官1人だけの非公開法廷を開き、ポストノフさんをビラブスク精神科・中毒性疾患センターに強制入所させるべきだとする下級裁判所の裁定を支持する判決を下した。ポストノフさんは、現在、この拘禁が不当だとして提訴している。また、精神病院では精神的な拷問を受けたと述べている。弁護士を含む外の世界との接触や、電話、郵便物などを禁じられた。そのため、人権活動家や友人たちが彼の釈放のために動いていたことを知らなかった。最初、ポストノフさんは、一切の治療を拒否していたが、もし拒否し続けていればいつまでも出られないと医師たちに言われたために、所定の薬を受け入れたという。

ポストノフさんは、アムネスティの当局への釈放要請行動に感謝している。「私の釈放は、多くのアムネスティの釈放要請ハガキのおかげだ。しかし、これは私だけに限ったことではない。もし当局が反対意見者に対しこのような方法を使うようになれば、大変恐ろしいことだ」と語った。アムネスティは、ポストノフさんに対する支援を今後も継続し、独立した医療機関で検査を受けられるように支援していきたい。

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背景説明

ビラブスク精神科・中毒性疾患センターで精神科医として働いているイゴール・ポストノフさんは、過去1年半以上に渡って、ユーチューブを使い、政府の政策や当地の医療制度について、数多く批判をしてきた。医療ミスや資金の悪用などの問題を取り上げたが、特に2013年6月、路上生活者に対処するために、警察が、入院患者の検査資料を使ったことを批判した。

8月16日、ユーチューブでポストノフさんが当地の医療政策を批判すると、勤務する病院の精神科医委員会は、ポストノフさんを「偏執狂的政府批判の傾向がある精神障がい者」だとして強制入院の必要があるという決定をした。当日、ポストノフさんは「ヨーロッパ自由ラジオ」の記者に「拘束された」と電話したが、その直後から電話がつながらなくなった。8月21日、ビラブスク地方裁判所は、非公開で審理を開き、同センターに強制入院せることが妥当であるという判断を下した。裁判所は、ポストノフさんは自分や他人を傷つける恐れのある「偏執狂的妄想的障がい」があるので精神科の治療が必要であるとした。しかし、インターネット上の彼の発言は取り上げたが、周囲にどのような危害を及ぼす危険がある犯すかは説明していない。

精神障がい者保護とメンタルヘルスケア治療の改善のための国連原則の16条では、強制的な精神科治療は、本人や他者を傷つける切迫した危険性がある深刻な精神疾患に限り、最終手段として、短期間のみに行うべきであるとしている。

ベラルーシでは、表現の自由は、しばしば制限され、政府を批判した人間は、起訴されることが多い。集会・結社の自由権も制限され、批判的な行動を取ろうとすれば、それがたとえひとりでのピケであっても、許可を受けなければならず、またその許可もなかなか通らない。平和的なデモでさえも、罰金刑を受けるか、短期間の収監となる。人権活動家、政治活動家、市民運動家などは、公共の秩序違反という名のもとに起訴されたり罰金を科せられたり、旧弊的な官僚制度に悩まされる。表現の自由や平和的な集会結社の自由権を制限するなど、当局の人権軽視の姿勢は、国際的に非難されているだけではなく、孤立化も招いている。欧州評議会には加入が認められないだけでなく、1997年の疑惑まみれの大統領選挙後も、その特別待遇国扱いは停止されたままである。

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