- 最新情報:
- 2019年5月31日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2018年11月 9日
- 国名:
- パキスタン
- 対象者:
- アシア・ビビ(女性)
- 期限:
- 2019年6月30日
- 配信日:
- 2018年11月 9日
- UA No:
- 192/2018
ムハンマドを侮辱したとして冒涜罪に問われ、無罪判決を勝ち取ったキリスト教徒のアシア・ビビさん(54才)は、迫害を逃れるため出国を希望したが認められなかった。出国を阻止しようとする暴徒の要求に政府が屈したからだ。さらに、政府は、最高裁に審理のやり直しを命じた。
パキスタン北部パンジャブ在住のキリスト教徒のビビさんは、同じ農民のムスリム女性と口論になり、預言者ムハンマドを侮辱したなどと言いふらされた。やがて、冒涜罪に問われることになり、2010年の一審で死刑判決を受け、二審でも敗訴したが、今年10月末の最高裁では、証拠不十分だとして、無罪を言い渡された。
無罪判決後、パキスタンの主要都市で、暴徒が道路を封鎖し、車に火を放つなど、激しい抗議が沸き起こった。カーン首相は、テレビを通じて無罪判決を支持し、暴力を非難する声明を出したが、抗議は治まることなく2日間続いた。この事態を受けて、政府の担当者が、抗議デモを主導したイスラム系政党のTLPの幹部と会談し、ビビさんの出国制限と判決の見直しに同意した。抗議の圧力に屈する形となった。
5人の子どもがいるビビさんは、過去8年間、死刑囚監房で過ごし、ようやく最高裁の無罪を勝ち取ったが、無罪判決後も収監されたままだ。
パンジャブ在住のキリスト教徒は、カースト最下層のダリット出身であるため、宗教的差別だけでなくカースト上の差別も受けてきた。
ビビさんには、収監中、他の囚人に襲われることがあった。家族も、繰り返し脅迫を受け、身に危険を感じてきた。
最高裁は、無罪判決の見直しで、死刑判決を下すおそれがある。たとえ、ビビさんが無罪で釈放されたとしても、出国を阻止しようとする暴徒に狙われるおそれがある。
死刑判決後、ビビさんに面会し、恩赦の申請を働きかけ、自身も釈放を求めて運動していたパンジャブ州知事は、2011年1月に自身のボディーガードに射殺された。2ヶ月後には、閣僚で唯一のキリスト教徒だった議員が、射殺された。
- 最新情報:
- 2019年5月31日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2018年11月 9日
- 国名:
- パキスタン
- 対象者:
- アシア・ビビ(女性)
- 期限:
- 2019年6月30日
- 配信日:
- 2019年5月31日
- UA No:
- 192/2018
2010年に冒涜罪で死刑判決を受けたアシア・ビビさん(54才)は、その後8年間、無実を主張して闘い抜いた末、昨年10月、最高裁での死刑判決破棄と無罪を勝ち取った。その後も紆余曲折があったが、5月8日、念願のカナダへの出国が実現し、子どもたちと再会することができた。
ビビさんは、農業の仕事をしながら5人の子どもを育てていた。ある日、仕事仲間に一杯の水を差しだしたところ、「キリスト教徒の水は不潔」と言われた。その時に返した言葉が、預言者ムハンマドの侮辱に当たるとして冒涜罪に問われ、2010年、死刑判決を受けた。ビビさんは上訴を繰り返し、長い闘いの末、昨年10月、証拠不十分だとして最高裁で無罪を勝ち取った。
この無罪判決を聞いた市民が、各地で抗議の声を上げたため、ビビさんは、家族がいるカナダへの出国ができなくなった。その上、最高裁は、無罪の見直しを求める再審査の実施に同意した。結局今年1月、最高裁はこの見直し請求も退けたため、ビビさんの無罪が確定した。
ところが、またビビさんに壁が立ちはだかる。当局は、ビビさんの身の安全確保のためだとして、5カ月近く、保護措置を取った。そして、ようやく5月8日、出国を認められ、カナダに無事到着、念願の家族との再会を果たした。
たくさんの方々が、不当な告発と周囲からの差別と長年闘うビビさんを励まし、彼女の無罪判決を求めて当局に手紙を書いてくださいました。心から感謝します。皆さんの後押しで、ビビさんは、カナダで自由な人生を歩み始めています。
今回の裁判では、冒涜法をめぐる議論が巻き上がり、これまでにないさまざまな解釈が聞かれるようになった。パキスタンの冒涜法は、規定があいまいで当局の恣意的な解釈を許す上、罰則が重い。証拠不十分な容疑者でも、死刑判決を受ける可能性がある。
アムネスティは、引き続き冒涜法の廃止と、すべての新しい法律の国際法と国際基準への完全準拠を求めていく。