最新情報:
2019年5月31日 (stop情報)
更新履歴:
2018年11月 9日
国名:
パキスタン
対象者:
アシア・ビビ(女性)
期限:
2019年6月30日
配信日:
2019年5月31日
UA No:
192/2018

2010年に冒涜罪で死刑判決を受けたアシア・ビビさん(54才)は、その後8年間、無実を主張して闘い抜いた末、昨年10月、最高裁での死刑判決破棄と無罪を勝ち取った。その後も紆余曲折があったが、5月8日、念願のカナダへの出国が実現し、子どもたちと再会することができた。

ビビさんは、農業の仕事をしながら5人の子どもを育てていた。ある日、仕事仲間に一杯の水を差しだしたところ、「キリスト教徒の水は不潔」と言われた。その時に返した言葉が、預言者ムハンマドの侮辱に当たるとして冒涜罪に問われ、2010年、死刑判決を受けた。ビビさんは上訴を繰り返し、長い闘いの末、昨年10月、証拠不十分だとして最高裁で無罪を勝ち取った。

この無罪判決を聞いた市民が、各地で抗議の声を上げたため、ビビさんは、家族がいるカナダへの出国ができなくなった。その上、最高裁は、無罪の見直しを求める再審査の実施に同意した。結局今年1月、最高裁はこの見直し請求も退けたため、ビビさんの無罪が確定した。

ところが、またビビさんに壁が立ちはだかる。当局は、ビビさんの身の安全確保のためだとして、5カ月近く、保護措置を取った。そして、ようやく5月8日、出国を認められ、カナダに無事到着、念願の家族との再会を果たした。

たくさんの方々が、不当な告発と周囲からの差別と長年闘うビビさんを励まし、彼女の無罪判決を求めて当局に手紙を書いてくださいました。心から感謝します。皆さんの後押しで、ビビさんは、カナダで自由な人生を歩み始めています。

今回の裁判では、冒涜法をめぐる議論が巻き上がり、これまでにないさまざまな解釈が聞かれるようになった。パキスタンの冒涜法は、規定があいまいで当局の恣意的な解釈を許す上、罰則が重い。証拠不十分な容疑者でも、死刑判決を受ける可能性がある。

アムネスティは、引き続き冒涜法の廃止と、すべての新しい法律の国際法と国際基準への完全準拠を求めていく。