最新情報:
2020年8月 4日 (stop情報)
更新履歴:
2019年11月21日 (更新情報)
2019年10月26日
国名:
ロシア連邦
対象者:
エミール=ウセイン・ククら6人(全員男性)
期限:
2020年9月 4日
配信日:
2020年8月 4日
UA No:
126/2019

ロシアの軍事裁判所は6月25日、テロ関連の容疑に問われていたエミール=ウセイン・ククさんら6人のクリミア・タタール人に対する控訴審で、一審の有罪を支持する判決を言い渡した。6人はいずれもねつ造された証拠にもとづく不当な司法手続きで有罪になった。そもそも、軍事法廷で審理すること自体が国際法違反だ。ロシア当局は、6人を即時に釈放するべきだ。

2014年、クリミアを違法に併合したロシアに対して、クリミア・タタール人は各地で抗議の声をあげたが、ロシア当局の執拗な嫌がらせや拘束、投獄を受けてきた。

失踪した活動家や起訴された人たちを支援していたククさんも、何度も家宅捜索や取り調べを受けた。妻や子どもたちも、生活や通学に支障をきたすほどの嫌がらせを受けた。そして2016年、6人は、テロ組織に関係したとの疑いで逮捕された。

ロシア当局の不当な取り締まりは、人権NGOだけでなく国際社会からも厳しい批判を受けた。欧州議会は2017年とその翌年、ククさんらの主張を支持する決議を採択した。昨年11月、軍事法廷での一審判決を受けた直後には、EU対外行動庁が、判決を批判する声明を出した。さらに今年3月には、欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表が、全員の即時釈放を求めた。

ククさんらや家族、弁護団は、この国際的な圧力が、自分たちの存在を世界に知らせ、ロシア当局の暴走の歯止めになると評価した。何よりも、世界との絆が心の支えになっているという。6月の法廷で、ククさんはその心境を切々と語っている。

「民族や宗教を超えて、これまで私たちを支えてくれた人たち、時間と労力を惜しまなかった人たち、集会などさまざまな場で危険を承知で私たちのことを語り訴えた人たち、裁判を傍聴するために何千キロも旅してきてくれた人たち、すべての人たちに感謝したい。とりわけ、アムネスティのような国際人権NGOに感謝したい。私たちは、変化が起こるのを待っている。私たちは心底、変化を渇望している。私たちは、落胆したり慈悲を求めたりはしない。私たちの自由を奪った者は、そう期待しているだろうが」

ククさんらは、あきらめない。信念にもとづき闘い続ければ、いずれ必ず変化が訪れ、自由を手にすることができると確信している。

6人が言い渡された刑期は次の通り(敬称略)。ムスリム・アリエフ19年、エンバー・ベキロフ18年、エミール=ウセイン・ククとヴァディム・シルクそれぞれ12年、ラファト・アリモフ8年、アルセン・ジェパロフ7年。

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