- 最新情報:
- 2020年1月17日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2019年12月 3日
- 国名:
- パキスタン
- 対象者:
- パンジャブ州民(男女)
- 期限:
- 2020年2月17日
- 配信日:
- 2019年12月 3日
- UA No:
- 153/2019
パキスタンで最も人口が密集する地域、パンジャブ州は深刻な大気汚染に見舞われ、市民の生活や健康は危機的だ。戸外では呼吸困難に陥るため、学校は閉鎖を余儀なくされている。呼吸器疾患を患う市民は、急増している。
パンジャブ州の大気質(大気汚染の程度)は、ほぼ一年中、「ほぼ健康に良くない」か「極めて健康に良くない」という深刻な状況で、「スモッグの季節」と呼ばれる10月から翌年1月にかけては、「危険」レベルにまで達する。これらは、州の大都市ラホールの米国領事館が設置した大気質モニターやパキスタン大気質イニシアティブなど信頼できる複数の情報源に基づく。大気質指数が300を超えると、市民は屋外でのすべての活動を控えなければならないとされる。11月13日、ラホールの大気質指数は556に達した。
一方、国の大気測定法は、国際基準に準拠せず、その情報は信頼性に欠ける。危険な状況にあるにも関わらず、市民は、適格な警告や避難指示を受けないため、その生活と健康は脅かされている。
汚れた大気が人びとの生活や健康に及ぼす影響は計り知れない。大気汚染の結果、ラホール州住民の平均余命は、5年縮まっているとされる。
大気汚染は、今に始まったわけでもなく、何の前置きもなく発生したわけでもない。
昨年5月、スモッグ対策委員会が、国に勧告を出し対応を求めた。しかし、政府は、そのごく一部にしか取り組まなかった。環境保全省の大気汚染データは、地域別の大気汚染状況を即時で知ることができるが、いまだに市民は、そのデータを利用することができない。良質の燃料へ切り替えるという課題も、着手されないままだ。
11月4日、10代の女性3人が清潔で健康的な環境の権利を侵害されたとして、州を相手取って訴訟を起こした。「大気汚染の不正確な情報は、人命の軽視だ」と申し立てた。
建設や農業などの従事者は、有害な空気をより多く吸うため、喘息や心臓疾患などにかかりやすい。有害な空気に長くさらされることは、生存権と健康に対する権利、健康的な環境の権利を危うくする。医者にかかれない社会的弱者でも同様だ。
世界保健機関によると、子どもは、大気汚染による健康被害を特に受けやすい。発育段階の子どもの肺は、大人の2倍の酸素を必要とするためだ。
パキスタン政府は、市民の健康と生活を守る義務があり、そのための対策を直ちに取るべきだ。
- 最新情報:
- 2020年1月17日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2019年12月 3日
- 国名:
- パキスタン
- 対象者:
- 期限:
- 2020年2月17日
- 配信日:
- 2020年1月17日
- UA No:
- 153/2019
カーン首相は昨年11月末、大気汚染問題で記者会見を開いた。パンジャブ州の大気汚染は「沈黙の殺人者」との認識を示し、専門家の提言に基づく計画案を発表した。アムネスティは、問題解決に向けた政府の姿勢と意欲を歓迎するとともに、今後、政府が大気汚染の解消にどう取り組むのか、引き続き監視していきたい。
同国では11月と12月は「スモッグの季節」と呼ばれるが、昨年もこの期間、人口が密集するパンジャブ州は、深刻な大気汚染に見舞われ、戸外では呼吸困難になり、呼吸器疾患の患者が増え、学校は休校を余儀なくされた。
首都ラホールの大気質指数は、11月21日の午後1時に598という殺人的な数値に達した。この数値は、汚染度を示す6段階の第6レベル「300以上(健康に危険)」の中でも極度に危険であることを意味する。
同じ11月21日、アムネスティはラホール市民の命を守るため、パキスタン政府に早急の対応を求めるUA(緊急行動)を世界に呼びかけた。
この呼びかけが、世界のメディアの目に留まった。ニューヨーク・タイムズ、TIME、BBC、ニューズウィーク、ワシントンポストなどが取り上げ、「深刻な大気汚染の中、国は市民の健康危機への対応を怠ってきた」と批判した。
「緊急行動」開始から9日後の11月30日、カーン首相が記者会見を開いた。首相は、大気汚染対策を説明し、「危機は必ず克服する」と意気込んだ。同席した気候変動担当大臣は、「全土で空気は澄み、緑が豊かで、持続可能な社会づくりに取り組む。特に大気汚染と気象変動への取り組みを約束する」と語った。
国のトップが「問題に対処する」と約束したことは、歓迎したい。しかし、大気汚染は相変わらず、「(健康に)良くない」から「非常に良くない」のレベルに留まったままだ。
政府が今後、約束した対策をどこまで実行するのか、しっかり監視を続けていく。
このUAに関するアクションは、これで終わります。要請文を送付してくださった方がたに感謝いたします。ありがとうございました。