エクアドル：
感染の脅威にさらされる先住民族

エクアドル政府は8月、先住民族の人たちを新型コロナ感染から守る対策を発表した。しかし、アマゾンの先住民族と人権擁護団体は、「対策は、自分たちと十分な協議もなく、要望が反映されないまま作成された。対策を実施する緊急対策委員会からも排除されている」と話す。大統領が主導して、先住民族らが意思決定に参加し、十分な予算付けと住民の権利やニーズに配慮した対策を立て直すことが不可欠だ。

エクアドルのアマゾンの先住民族の人びとは、長年にわたり不平等や排除などの差別を受け、飲料水、食料、医薬品、医療などに事欠く生活を強いられてきた。十分な感染対策を取れず、パンデミック（感染の大流行）のリスクは高まっている。

今回、発表された対策は、アフリカ系エクアドル人、モントゥビオ民族をはじめとした先住民族を対象に、民族や団体、地域を越えてコロナウイルス禍の緊急事態に対応し、関係当局が連携した対応を取ることを目指すとしている。

パンアメリカン保健機関の協力を受け、エクアドル先住民族連盟とエクアドル人・ケチュア民族連盟などの承諾も得ながら、さまざまな政府関係者や役人が集まったという。

しかし、複数の先住民族団体や人権団体は、意見や要望を出すにも協議に参加することができず、対策に関わる緊急対策委員会のメンバーにも入っていないという。

今回の国の不十分な対応を受けて、エク.アドル・アマゾン先住民族連盟、アマゾン・ウオッチ、アマゾン・フロントラインズ、アルデア財団、サンフランシスコ・デ・キト大学などが、独自のウェブサイトを立ち上げた。このウェブサイトは、それぞれの民族文化に対応した防護具、衛生用品、医薬品などの感染症対策の情報を提供し、パンデミックを監視し、感染多発地の特定もするという。

これらの団体が8月19日に発表したところでは、人口29万人のエクアドル・アマゾンの先住民族のうち、感染者は3,303人、死者は80人だった。検査数が少ない一方で、すべての先住民族に感染が広がっているため、実数はもっと多いという。

司法当局は6月18日、ワオラニ族に対する感染予防措置として、感染の疑われる人の検査、医療従事者の派遣、医薬品の提供、人道支援、居住地近くでの営利事業の制限などの実施を決めた。しかし、先住民族と人権擁護団体は、「これらの対策も十分実施されているとは言えない」と話している。

先住民族の人たちの命と生活に関わる施策は、当事者である先住民族の人たちが事前に十分な説明を受け、自由に意見を言うなどの人権基準に従ってあらためて作成されるべきだ。

アクションしてください。

英語で当局への以下の要請事項を盛り込んだ要請文を郵便またはメールで、できるだけ早く送ってください。

• 当局は、感染対策の意思決定に先住民族の参加を認め、十分な予算の下で人権とニーズを尊重した上で、対策を立て直し実施する。
• 先住民族に関わる政策や対策は、先住民族の人たちが、十分な情報に基づいて納得の上で同意する権利などの人権基準に沿って行われる。

要請文

英語でUAを読む

• https://www.amnesty.org/en/documents/amr28/2943/2020/en/