- 最新情報:
- 2020年11月24日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2020年11月20日
- 国名:
- アルゼンチン
- 対象者:
- アルゼンチンの女性たち
- 期限:
- 2020年12月24日
- 配信日:
- 2020年11月20日
- UA No:
- 163/2020
今年3月、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は、年内に人工中絶を合法化する法案を議会に提出すると公約した。国民議会の会期が終る11月30日が迫る中、公約はまだ果たされていない。来年になれば、法案が可決される可能性は、極めて低くなる。そのためアムネスティは、大統領に約束を守り、今期中に法案を成立させ、女性や少女の生命、健康、自由意志の権利を尊重し、保護し、実現するアルゼンチンの人びとの人権義務を果たすよう求めている。
妊娠中絶の制限は、妊娠中の女性たちの死に直結する、重大で急を要する公衆衛生上の問題を引き起こしてきた。対象となる女性は、そのほとんどが社会的に弱い立場にある。
公的な調査によると、アルゼンチンでは中絶が違法なため、毎年、50万人の女性が専門技術を持たない術者による危険な妊娠中絶を受けているという。1983年の民主化以来、毎年、3千人以上が命を落とし、約3万9,000人が中絶手術による合併症で入院してきた。世界を見れば50カ国以上が、安全な中絶は命と健康を守るために欠かせないとして、中絶手術を認める法改正をしている。アルゼンチンにとって、今こそ、危険な中絶をなくし、国際人権義務を遵守する好機だ。
2018年6月、議会の下院は、妊娠14週までの中絶を全面的に認める法案を承認した。国内で拡大していた中絶合法化を求める運動にとって、歴史的な勝利だった。運動は、2カ月にも及び、デモや議員による公聴会も行われた。前例を見ない多数の市民が、法案を支持するデモに参加し、国際社会からも連帯を示す運動が起こった。アムネスティは、会員やサポーターを動員し、世界中の政府関係者や影響力のある個人に法案指示の声を上げるよう働きかけ、ニューヨークタイムズに上院議員に法案の可決を求める全面広告を載せることまでした。多くの国連人権機構が、アルゼンチンに性と生殖の権利を保護するように求めた。国連の女性差別撤廃のための作業部会が、アルゼンチン議会が中絶問題を取り上げ、議論していることを歓迎する声明を出した。声明は、重要で急がれる女性の生殖の権利拡大を支持し、法案可決を明確に求めた。しかし、アルゼンチンの上院は、法案を僅差で否決した。
昨年の総選挙後、議会は刷新され、手順規則に従い中絶を合法とする法案が再び議題に上がり採択される可能性が出てきた。フェルナンデス大統領は、中絶の合法化を支持する声明を出し、今期の議会に法案を提出すると約束した。大統領が中絶を認める法案を提出すれば、中南米諸国史上初めてとなる。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で手続きが遅れ、この法案が議題に上がらないおそれが出ている。もし、今期に中絶を認める法案が審議されなければ、来年は議会選挙の年であり、舵取りが難しくなる政治状況もある中で、法案が提出される可能性は、ほぼなくなってしまう。従って、今こそ、大統領が法案を年内に提出するという約束を果たすよう圧力をかける必要がある。
- 最新情報:
- 2020年11月24日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2020年11月20日
- 国名:
- アルゼンチン
- 対象者:
- アルゼンチンの女性たち
- 期限:
- 2020年12月24日
- 配信日:
- 2020年11月24日
- UA No:
- 163/2020
11月17日、フェルナンデス大統領は公約を果たして国民議会に妊娠中絶法案を提出した。大統領は今年3月、年末までに同法案を提出すると約束していた。この法案は、今月からの下院での審議・採決を経て上院に回され、来年2月末までの臨時国会で採決される。
大統領は約束を守り、中絶を合法化する法案を提出した。女性たちのさまざまな運動や取り組みが、議会で中絶合法化法案が審議されるという歴史的動きへと導いた。今、議会の真価が問われている。重要な法案の短期間での審議となるが、議会は、妊娠した人の自由意志の権利を認めなければならない。
両院での法案の可決・成立に向けて、アムネスティはこれからも全力で働きかけを続ける。
このUAに関するアクションは、これで終わります。要請文を送付してくださったみなさまに深く感謝いたします。ありがとうございました。
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