最新情報:
2022年5月10日 (stop情報)
更新履歴:
2022年4月 8日
国名:
米国
対象者:
メリッサ・ルシオ(女性)
期限:
2022年6月10日
配信日:
2022年5月10日
UA No:
029/2022

4月25日、テキサス州刑事控訴裁判所は、2日後に迫っていたメリッサ・ルシオさん(52歳)の死刑執行の無期限停止を決定した。裁判は差し戻され、被告人の無実の可能性について新たな科学的証拠に基づく審理がされることになった。アムネスティは、有罪の根拠に重大な疑いがある中での死刑執行は国際法に違反すると訴えてきた。

ルシオさんは2008年、娘のマリアちゃん(2歳)の死亡をめぐり、殺害罪で死刑判決を受けた。連邦控訴裁判所は、今年3月31日、ルシオさんの有罪と死刑判決の見直しを否定する判断をしたが、判事の一人は「この裁判には、さまざまな不正を生み出す構造的問題がある」と批判した。その一つが、ルシオさんが起訴されている最中にも行われていた、検察官の汚職である。検察官は現在、服役している。

弁護団は4月15日、人身保護請求書をテキサス州刑事控訴裁判所に提出した。弁護団は、ルシオさんの死刑執行を停止し死刑判決の無効を求める請願書の中で、ルシオさんの自白の信憑性に大きな疑問があることを示す新たな証拠を示した。さらに、ルシオさんが過去に受けてきた虐待によるトラウマで尋問の際に虚偽の自白をしやすいこと、また、捜査範囲が狭かったこと、採用した証言の科学的根拠への疑問、さらに娘の死は事故死だったのではないかという疑問を投げかけている。

テキサス州刑事控訴裁判所は4月25日、請願書の9項目のうち4項目が、テキサス州法における裁判での本案審理の要件を満たしていると裁定した。4項目とは、「州が虚偽の証言を採用しなければ、陪審員は被告人を有罪にすることはできなかったはず」、「当初入手できなかった科学的証拠があれば、有罪にはならなかった」、「被告人は実際には無実である」、「州は被告人に有利な物証を隠した」である。裁判所は、この4項目を一審に差し戻し、その審理終了まで死刑執行を停止した。

テキサス州恩赦委員会は、グレッグ・アボット州知事に死刑執行の停止か120日間の延期かの判断を問う投票を予定していたが、その直前、今回の裁定が下された。3月に出された恩赦請願書には新たな科学的証拠も挙げられていたが、4月12日にはさらにルシオさんの弁護人による補足が加わった。ルシオさんの弁護人は、「テキサス州をはじめ全米全世界の方々からいただいた支援に感謝する」と話す。

このUAは今回で終了です。アボット知事に手紙を書いていただい皆様に深く感謝いたします。ご支援、ありがとうございました。

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