- 最新情報:
- 2022年8月 2日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2022年6月28日
- 国名:
- 米国
- 対象者:
- ラミロ・ゴンザレス(男性)
- 期限:
- 2022年9月 2日
- 配信日:
- 2022年6月28日
- UA No:
- 057/2022
テキサス州で7月13日、ラミロ・ゴンザレスさん(39歳)の死刑執行が予定されている。2001年18歳の時に犯した殺人で2006年に死刑判決を受けた。ゴンザレスさんは、幼少期に虐待され、育児放棄されていたという。アムネスティはテキサス恩赦仮釈放委員会と州知事に恩赦を要請している。
2002年10月、ゴンザレスさんは前年9月の女性誘拐と強かんを認め、終身刑となった。服役後まもなく、2001年にコカインを提供していた売人宅を物色中に女性(18歳)を殺害したことを認めた(殺人時にはすでにコカインを吸引していた)。
2006年の評決段階で、弁護側証人は被告が母親から育児放棄されていたと証言した。母親は妊娠中にシンナー、酒、薬物を乱用し、中絶を2回試みた。幼少期は父親が不在だったため、母方の祖父に預けられたが、ほぼ放任状態だった。さらに、証人は、被告が受けた身体的、性的な虐待の詳細について証言した。6歳までにいとこから、そして12歳と13歳の時には年上の女性から性的虐待を受けたという。「被告が酒と薬物の乱用を始めたのは11歳の時」だった。神経心理学者は、「被告は基本的に頼る人がいなく、精神的には13歳か14歳のままだった」と証言した。
一方、検察はゴンザレスさんが刑務所内で暴力を振るうようになるだろうという精神科医の説明文書を提出した。テキサス州においては陪審員が刑務所内での暴力についての認識を持つことが死刑判決の要件となっている。ただ、この精神科医は、将来の被告の危険性予測は、非科学的で信頼性に欠け、これまでも死刑判決に反映されているとはいえ、かねてよりまったく不正確だということを米国精神医学会が指摘していることも認めていた。実際、死刑囚監房においてゴンザレスさんに軽微な規律違反はあったが暴力的行動はなかった。
米国では、2020年7月から翌年1月の間に13人が死刑を執行された。13人のうち2人は、事件当時それぞれ18歳と19歳の黒人で、白人カップルを殺害したとされた。2人はゴンザレスさんが裁判にかけられた同じ連邦テキサス州地方裁判所で起訴された。2人の死刑執行が近づくにつれ、連邦検事は上告審で死刑を求刑したことは誤りだったと告白し、「25、26歳までは若者の脳は発達段階にあり、18歳という年齢は17歳と同様に未成熟であり、矯正の可能性があることは科学的に証明されている」と語っている。
米国ではこの6月までにテキサス州での1件を含む7件の死刑執行があった。テキサス州における死刑執行は、1976年以後米国で執行された1547件のうち574件を占める。
アムネスティは、すべての死刑執行に例外なく無条件で反対する。
- 最新情報:
- 2022年8月 2日 (stop情報)
- 更新履歴:
- 2022年6月28日
- 国名:
- 米国
- 対象者:
- ラミロ・ゴンザレス(男性)
- 期限:
- 2022年9月 2日
- 配信日:
- 2022年8月 2日
- UA No:
- 057/2022
テキサス州刑事控訴裁判所は7月11日、ラミロ・ゴンザレスさん(39歳)の死刑執行を停止する命令を出した。執行予定日の2日前のことだった。幼少期に育児放棄と虐待を受けていたゴンザレスさんは、18歳の時に殺人を犯し、5年後に死刑判決を受けた。テキサス州での死刑判決の前提条件である「今後事件を起こす危険性」について、「検察側の専門家は裁判で間違った証言をしていた」との主張を刑事控訴裁判所が認め、本件を地裁に差し戻した。
ゴンザレスさんの弁護団は6月30日、テキサス州刑事控訴裁判所に「2006年の量刑判断時に、検察側は専門家の間違った証言を提出していた」などとする嘆願書を提出した。 検察側は、ゴンザレスさんが刑務所で暴力行為におよぶおそれがあるとする精神科医の証言を提出していたが、この種の証言は、これまでも極めて信頼できないとする見方が多かった。
その精神科医は、最近、ゴンザレスさんを再鑑定し、今度は「被告には人格面で反社会的なところはない。将来的にも他人に危険を及ぼすおそれはない」とする報告書を提出した。その中で「被告が犯罪を犯したのは、18歳の時だった。その後の年月で著しく成熟した被告は精神的にも異なる人物になっている。死刑囚監房での15年間、懲戒されるような暴力沙汰もなかった。現時点での精神状態を考慮すると、被告は将来、社会に危害を及ぼすおそれはない」と明記した。
この報告書などにもかかわらず、7月11日のテキサス州仮釈放委員会は、恩赦を否定した。しかし、その1時間後に、刑事控訴裁判所は、死刑執行の停止命令を出し、「将来の危険性についての判断は法廷でなされるものであり、人身保護審査での再評価は適切ではない」と表明した。
米国での死刑執行は、今年、アラバマ(1)、アリゾナ(2)、ミズーリ(1)、オクラホマ(2)、テキサス(1)の7件あった。テキサス州での執行数は、1976年以後に米国で執行された1547件のうち574件を占める。
アムネスティは、すべての死刑執行に例外なく無条件で反対する。
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