カナダ：
土地擁護者らに対する訴追の取り下げを

カナダ・プリティッシュコロンビア州の先住民族ウェットスウェテン族は、先祖代々の土地を守ろうとする中で、警察に人権を著しく侵害され、逮捕されるおそれがある。首長たちは、液化天然ガスパイプラインが自分たちの土地を通過することに反対してきた。ウェットスウェテン族をはじめとする土地を守ろうとする人たちは2019年以来、重装備の警察の襲撃を3度受けてきた。そして、開発許可が出された土地から動かない人たちの排除を許可した裁判所の決定に従わなかったとして、15人が法廷侮辱罪に問われてきた。また、ウェットスウェテンの人たちは、警官や開発会社の警備員から毎日のように嫌がらせや脅迫を受けているという。

先住民族がその開発に反対するコースタル・ガスリンク・パイプラインは、LNGをアジア市場に輸出するLNGカナダの液化天然ガスプロジェクトの一環だ。このプロジェクトは、カナダ政府とプリティッシュコロンビア州の支援を受けている。カナダは、国内での化石燃料の採掘を積極的に拡大する政策を進めているが、この政策が温室効果ガスの排出量が増える要因の一つになっている。カナダは、人権擁護のために化石燃料の生産と使用から速やかに撤退すべきだ。

州の公安省と法務次官は、2019年から3年間、ウェットスウェテン族の領地に王立カナダ騎馬警察を配属し、土地開発に抗議する人たちの逮捕を支援してきた。これまでに74人が逮捕され拘置されている。騎馬警察は武器やヘリコプター、警察犬部隊を保有する。メディアによると、斧とチェーンソーで民家のドアを打ち破り、室内にいた住民に銃を向けたこともあった。これまでに取り締まりや監視にかかった経費は2,000万カナダドル（およそ21億円）を上回る。連邦政府の公安関連文書には、ウェットスウェテン族の首長たちは「過激原住民」とある。

今年2月、コースタル・ガスリンク社の弁護団は、ブリティッシュコロンビア州最高裁判事に、昨年逮捕された人たちに対する侮辱罪を認めるよう求めた。過去の2例では、検察官は、訴追は公共の利益にはならないと判断していたが、今回は違った。6月1日、検察官は15人を侮辱罪で起訴し、昨年11月に逮捕された10人についても起訴を検討しているという。検討結果は7月7日に公表される。検察官は、「土地の擁護者たちは何度も裁判所の命令にそむいている」と話すが、首長たちは、「自分たちの自治領で自分たちが認めていない事業を企業に認める権限は国にはない」と主張する。ウェットスウェテン族は、土地所有権をめぐる1997年の最高裁での裁判では、勝訴している。

王立カナダ騎馬警察コミュニティー産業対応グループは、2017年にブリティッシュコロンビア全州で展開する大規模な資源産業プロジェクトの一環で設立された。設立の目的は、エネルギー事業をめぐる事案や社会的秩序、国家の安全、犯罪などに対処する戦略的監視をすることと州全体での対応を標準化することにある。

アクションしてください。

当局に以下の要請を盛り込んだ英語の要請文を郵送またはメールでできるだけ早くお送りください。

• 犯罪者扱いされているウェットスウェテン族や支援者に対する訴追を直ちに取り消す。

要請例文

Attorney General Niki Sharma
2135 East Hastings Street, Vancouver
British Columbia, Canada
Email: niki.sharma.mla@leg.bc.ca

Dear Honourable Niki Sharma,

I’m writing as a concerned supporter of the global human rights organization Amnesty International. Wet’suwet’en land defenders and Hereditary Chiefs have never consented to the Coastal GasLink pipeline project on their ancestral and unceded territory. Allowing construction to proceed without their free, prior, and informed consent disregards their right to self-determination and to decide what economic development takes place on their traditional territory, as set out in various international human rights instruments including the United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples which was enshrined within BC Law when the provincial government passed the Declaration on the Rights of Indigenous Peoples Act into law in November 2019.

The pipeline has already caused environmental destruction and cut the Wet’suwet’en people off from their ancestral territory. They have been unable to perform many of their traditional activities, such as hunting and fishing, because the forest has been damaged by construction sites.

The Canadian police (RCMP) have arrested dozens of land defenders during the enforcement of an injunction obtained by the pipeline company. Indigenous People who have engaged in peaceful actions to defend the land should not be criminalized solely for exercising their rights.

With trials for several of the land defenders approaching soon on 30 October, now is the time for you to take action. I urge you to immediately drop the charges against the criminalized land defenders who oppose the Coastal GasLink pipeline.

Sincerely,

↑ここにあなたの名前とアドレスを記入

手紙のフォーマットをダウンロードする

英語でUAを読む

• DROP CHARGES AGAINST LAND DEFENDERS

カナダ・プリティッシュコロンビア州の先住民族ウェットスウェテンの人たちは、先祖伝来の土地と水路を守るため、ガスパイプラインの敷設に反対する活動をしてきた。住民と支援者は、警察の監視、嫌がらせ、脅迫、拘束、告発などを受けてきた。告発された7人の次の裁判が、来年1月に予定されている。当局は、先住民族の権利と表現の自由、集会の権利を行使しただけで逮捕された人たちに対する刑事侮辱容疑の告発を取り下げるべきだ。

コースタル・ガスリンク社が、パイプラインの敷設工事を請け負う。全長670キロメートルに及ぶパイプラインは、天然ガスを建設予定のLNGカナダ処理工場に送る。

ウェットスウェテンの5氏族はすべて、パイプラインの敷設に反対している。にもかかわらず、パイプラインプロジェクトは進められており、先住民族の法律、カナダの憲法、先住民族の権利に関する国連宣言（UNDRIP）などが規定するカナダの国際人権義務に違反している。

2018年12月、ブリティッシュコロンビア州最高裁判所はウェットスウェテン領内を通る幹線道路の封鎖を否定する暫定的判断を下した。2019年2月、先住民族の代表はパイプライン建設の停止命令を出すよう求めた。2019年12月、州最高裁は執行条項を含む仮差し止め命令を認めた。これらの差し止め命令の下で活動する警察と州の産業促進団体は、土地擁護者らの監視、嫌がらせ、脅迫、排除、拘束などをしてきた。

アムネスティは、昨年7月と今年5月、7月の3回、パイプライン会社に文書で懸念を伝え、同社から回答を受け取ったが納得できるものではなかった。今年6月、アムネスティはコースタル・ガスリンク社の代表と面談し、住民への対応に対する懸念をあらためて提起したが、懸念に応える回答はやはり得られなかった。

2019年1月、2020年2月、2021年11月、今年3月の4度、警官隊が動員され、住民と支援者ら75人以上が拘束された。2022年6月と7月、プリティッシュコロンビア州司法長官は、パイプライン建設現場への立ち入りを禁止する裁判所命令に違反したとして、20人の土地擁護者の法廷侮辱罪での起訴を決定した。2022年12月、5人の土地擁護者が有罪を認め、うち3人に500カナダドル（約54000円）の罰金、2人に社会奉仕活動25時間が課された。残る15人は来年1月までに裁判を受けることになる。

2019年から2023年3月までの間に、ウェットスウェテンの土地擁護者や支援者などの監視や取り締まりに、3700万カナダドル（約40億円）近い公金が費やされた。

2009年以来、ウェットスウェテン族の土地擁護者らは、自分たちの管轄権を確認するために、領内にいくつかの建物を設置してきた。さらに「自由・事前・情報に基づく同意」を徹底し、領内への訪問者は必ず族長の許可を得ることを義務づけている。コースタル・ガスリンク社は、ウェットスウェテン族との協議に関する文書を提供したが、アムネスティは、この文書を検証した結果、協議プロセスが国際人権基準に準拠しておらず、同民族は最終的にプロジェクトの進行について、自由意思に基づき、事前に十分な情報を得た上で同意しなかったことがわかった。

国連人種差別撤廃委員会は2019年12月、早期警戒および緊急対策手続きの一環として、カナダに対し協議義務の完全かつ適切な履行後、ウェットスウェテン族の同意が得られるまで、パイプライン建設に関わるすべての許可と承認を停止するよう求めた。アムネスティは、カナダ連邦・州の各局に面談の要請と質問状を送った。すべての当局は面談を拒否したが、警察、ブリティッシュコロンビア州首相、ブリティッシュコロンビア州エネルギー規制当局からは書面回答が届いた。しかし、その回答は杓子定規で、アムネスティの質問への回答になっていない。

アクションしてください。

当局に以下の要請を盛り込んだ英語の要請文を郵送またはメールでできるだけ早くお送りください。

• 犯罪者扱いされているウェットスウェテン族や支援者に対する訴追を直ちに取り消す。

要請例文

Attorney General Niki Sharma
2135 East Hastings Street, Vancouver
British Columbia, Canada
Email: niki.sharma.mla@leg.bc.ca

Dear Honourable Niki Sharma,

I’m writing as a concerned supporter of the global human rights organization Amnesty International. Wet’suwet’en land defenders and Hereditary Chiefs have never consented to the Coastal GasLink pipeline project on their ancestral and unceded territory. Allowing construction to proceed without their free, prior, and informed consent disregards their right to self-determination and to decide what economic development takes place on their traditional territory, as set out in various international human rights instruments including the United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples which was enshrined within BC Law when the provincial government passed the Declaration on the Rights of Indigenous Peoples Act into law in November 2019.

The pipeline has already caused environmental destruction and cut the Wet’suwet’en people off from their ancestral territory. They have been unable to perform many of their traditional activities, such as hunting and fishing, because the forest has been damaged by construction sites.

The Canadian police (RCMP) have arrested dozens of land defenders during the enforcement of an injunction obtained by the pipeline company. Indigenous People who have engaged in peaceful actions to defend the land should not be criminalized solely for exercising their rights.

With trials for several of the land defenders approaching soon on 30 October, now is the time for you to take action. I urge you to immediately drop the charges against the criminalized land defenders who oppose the Coastal GasLink pipeline.

Sincerely,

↑ここにあなたの名前とアドレスを記入

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• DROP CHARGES AGAINST LAND DEFENDERS