最新情報:
2025年3月18日
国名:
ロシア連邦
対象者:
アルテム・コロミイェーツ(男性)
期限:
2025年10月31日
配信日:
2025年3月18日
UA No:
019/2025

2022年5月、衛生兵アルテム・コロミイェーツさんは、マリウポリ包囲戦で捕虜となり、隔離拘禁に置かれている。拷問やその他の虐待を受け、健康を害したうえ、適切な医療措置を拒否され、生命の危険にさらされている。重病の捕虜として、コロミイェーツさんは、直ちにウクライナに送還されるか、中立国に収容されなければならない。

ウクライナ国家警備隊第12旅団(アゾフ旅団)のコロミイェーツ上級軍曹は、1000日以上ロシアに拘束されてきた。コロミイェーツさんは隔離されており、彼に関する情報は共に捕らえられていた捕虜が家族に伝えた内容のみであり、昨年12月以降、新しい情報はない。子どもの頃から、コロミイェーツさんは傷ついた動物の世話をしていた。家族は、いずれ獣医になるのだろうと思っていたという。大人になると、人助けのため医者になる夢を持ったが、彼の夢は軍隊で叶えられた。

ロシアの本格的な侵攻開始から数日で、マリウポリはロシア軍に包囲された。マリウポリの防衛戦は86日間続いた(うち82日間は完全に包囲されていた)。ロシア軍の攻撃で街は跡形もなく破壊され、ロシア軍がマリウポリ市内に乗り込んでくると、市民とウクライナ軍はアゾフスタリ製鉄所を避難所として利用した。コロミイェーツさんはマリウポリ防衛戦でもアゾフスタリ製鉄所でも、衛生兵として負傷者の手当てに従事し、命を救い、一般市民にも医療支援を提供した。戦友たちの証言によれば、コロミイェーツさんは非常に献身的で、命がけで医療任務を遂行していた。

アゾフスタリ製鉄所に避難していた人々の正確な数は明らかではないが、少なくとも177人の民間人(47人の子どもを含む)と1900人以上のウクライナ人防衛隊員が5月20日に製鉄所を離れ、残るウクライナ軍兵士には、ウクライナ当局から自身が生き延びることを優先するよう、命令が出された。これは事実上、「ロシア軍に降伏せよ」という命令だった。この2カ月間に製鉄所に避難してきた人びとの数はおそらくもっと多かっただろう。残念なことに、激しい砲撃のため、多くの市民や戦闘員がこの地で命を落とした可能性が高い。

コロミイェーツさんはマリウポリとアゾフスタリ製鉄所の防衛戦で負傷し、2022年5月20日に捕虜となった。ロシアには戦時捕虜のための正式な収容所がないため(これも国際人道法違反にあたる)、他の多くの捕虜と同様に、ロシア各地の流刑地を転々とさせられた。

元捕虜の証言によれば、捕虜への医療援助が認められている流刑地では、コロミイェーツさんは自身が捕虜でありながら医療任務を果たし続けたという。直近に収容されていたロシアのペルミでは、捕虜が医療措置を求めると集団処罰を受けるため、他の捕虜を助けることも、コロミイェーツさん自身が治療を受けることもできなかったという証言がある。

国際人道法(特にジュネーブ第三条約)は、戦時捕虜の基本的権利を保障している。捕虜の権利には、人道的待遇(第13条)、適切な生活環境(第25条)、食料の質と量(第26条)、医療(第30条)、通信を送受信する権利(第71条)、救援物資を受け取る権利(第72~74条)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、重傷者、重病者、または精神的もしくは肉体的な健康が捕囚によって危険な状態にある者は、109条および110条が定めるところにより、母国ウクライナに送還されるか、または中立国に収容されなければならない。

アムネスティの調査や国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報告書によると、ウクライナの捕虜は、捕虜生活の中で広範かつ組織的な拷問や虐待を受けており、隔離拘禁されている場合も多い。コロミイェーツさんの家族は彼と手紙のやり取りができていない。唯一の情報は元捕虜からのもので、文通権の侵害にあたる。

アクションしてください。

当局に以下の要請を盛り込んだ英語の要請文をメールでできるだけ早くお送りください。

  • 体調を崩しているコロミイェーツさんを直ちに解放する。
  • 解放までの間、人道的な待遇を保証し、適切な医療の提供および通信の権利を確保する。

要請例文

Tatiana Moskalkova
Human Rights Commissioner

Smolensky Boulevard, 19с2
119121 Moscow
Russian Federation
Email: Moskalkova@ombudsmanrf.ru
A.Ovchinnikova@rightsrf.ru
A.Scherbakova@rightsrf.ru

Dear Human Rights Commissioner,

I am writing to express my grave concern with the case of a seriously ill and wounded Ukrainian POW combat medic Artem Kolomiiets. He was captured in May 2022 in Mariupol, and his captivity was confirmed by ICRC. He is held incommunicado in Perm, tortured and subjected to other forms of ill-treatment that caused his health condition grave deterioration and now puts his life at risk according to the recent testimonies of former POWs. At the time of his capture, Artem had severe spine damage, a torn knee meniscus. No proper treatment was provided for his wounds. In captivity, his health deteriorated further due to torture and other ill-treatment and he suffered critical weight loss, severe spine damage, developed asthma, and stomach and duodenal ulcers.

All POWs who are gravely wounded or gravely sick, or whose mental or physical well-being is endangered by captivity must be repatriated to Ukraine or accommodated in neutral country. I urge you to take all steps within your authority to ensure that Artem Kolomiiets:

  • is released from captivity on health grounds;
  • pending his release, is treated humanely, provided with adequate healthcare, and guaranteed the right to correspondence.

Yours sincerely,

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